料理家で〈eatrip〉主宰の野村友里さんが、沖縄を旅しました。人に会い、作品に会い、おいしいものと〝おいしい人〞に出会う旅。沖縄は島だけれど、生きています。島全体がグルーヴしているみたい。旅することで、元気がもらえる。さあ、島のみんなが待ってるよ。
森に抱かれるようにある
藤本健さんの工房へ
ゆるゆる、ゆるゆる。さぁ、いよいよ沖縄時間が始まるぞ。羽田空港に現れた料理家で〈eatrip〉主宰の野村友里さんの口角は、いつもより15度は上がっている感じ。嬉しいんです、弾んでます、沖縄ツアー。
まずは那覇空港から車を走らせること、40分余り。南城市にやって来た。目的は、木工作家の藤本健さんに会うこと。坂道をキュインと上がって車を停めて、トコトコッと歩けば、すぐに藤本さんの自宅兼工房が見えてくる。木造平屋の自宅は、庭に向かって大きく開いたリビングと広い縁側がつながった、ゆったりした造り。中と外の差がないから、ものすごい開放感。縁側では、大小のワンコが2匹、お昼寝中。おや、ネコもいる。
「こんにちは」と声をかけると、奥から藤本さんがニコニコ登場。野村さんとは久々の再会だ。2人とも、心からのニコニコ。
「那覇のギャラリーで藤本さんの器を見て、わっ、いいなと思ったのが始まりです。沖縄独特のアカギの色にひかれました」。その地に根付いている木を使った器作りに心ひかれ、工房にもお邪魔し、いろんな沖縄の木たちと出合った野村さん。白かったり、赤かったり、不思議な模様があったり。そして、どれもこれも見たことがないような顔つき。木がなりたいような形そのままの姿。
「沖縄そのものだと思いました」。そして手にしたのが、ガジュマルのボウルだった。ザ・沖縄な材。自然のままの風合い、色み、触感、すべてが気に入ってのことだ。使うほどに、暮らしになじむ。大切に使えば、器も喜んでくれるのだ。