2019.08.03
# 経営者 # 硝子

売上高1兆5000億円のガラスメーカー社長が語る「トップの役割」

「AGC」島村琢哉社長に聞く
夏目 幸明 プロフィール

胃にポリープができたことも

社員全員が「言われたことを100%守るのが仕事」という感覚を捨て、一歩踏み出す勇気を持つ―それが企業に進歩をもたらす施策だと考えています。

例えば当社は研究所の社員に「仕事時間の10%は自分が興味を持っていることに使ってほしい」と伝えています。また、アイデアコンテスト「ゴングショー」を実施しており、事業化したいアイデアがあれば、3分間のプレゼンで提案ができる機会を設けています。アイデアがものになるかどうかより、若手が自分の考えで会社を変えようとし、何かをつかむことに意味があるのです。

従業員との対話を大切にしており、年150回程度写真のようなタウンホールミーティングを行う

私自身は苦労を苦労と思わない性格です。あえて大変だった話をするなら、化学品部門にいた時のこと。赤字が嵩んだ事業の構造改革を、私が行う立場になったのです。考え抜いて出した答えは、工場から遠くて輸送費が嵩み、赤字の原因になっていた西日本からの撤退。

社内外の猛反発が予想されました。事業規模は縮小を余儀なくされ計画が狂い、営業はお客様を失い、代理店様も新たに供給元を探さなければなりません。

 

しかし非常時こそ調整型のリーダーより断行型の人間が必要なのです。営業には「取引先に“本社の島村の独断”と伝えてほしい」と言い、家に帰って家内やまだ幼稚園児だった子供の顔を見て「会社にいられなくなっても必ず飯は食わせる」と誓って、自分自身に「断行する人間は悪役になる覚悟が必要なのだ」と言い聞かせました。

結果、この部門は今や黒字を出すまでに回復しているのですが―この時だけは胃にポリープができましたね。

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