Photo by iStock
# 経営者 # 硝子

売上高1兆5000億円のガラスメーカー社長が語る「トップの役割」

「AGC」島村琢哉社長に聞く

1907年創立、世界最大級のガラスメーカー・AGC(旧社名・旭硝子)を取材した。三菱グループの主要企業で、建築・自動車・ディスプレイ用ガラスに加え、化学品なども手掛ける総合素材メーカーだ。売上高1兆5000億円超、従業員数約5万名の大所帯を動かす人物は、普段、何を実践しているのか。現場生え抜きの島村琢哉社長(62歳)に話を聞いた。

「目的」は社会の役に立つこと

人類は約5000年前からガラスを利用してきましたが、近年、さらなる進化を遂げています。例えば当社は最近、建物の窓を携帯電話の基地局化できる、透明な「ガラスアンテナ」の開発に世界で初めて成功しています。

景観を損ねることなく新たな基地局を設置でき、今後は5G対応アンテナの開発も検討しているため、次世代高速通信の普及に大きく貢献できるでしょう。車のガラス向けも開発しているため、コネクテッドカーの普及にも弾みがつくはずです。

 

また建築用ガラスでは省エネ性能が高いエコガラスを製造しています。室内と屋外の熱交換の多くがガラス窓を経由しており、もし日本中の窓が当社のエコガラスになったら、エアコンによる電気消費量が大きく減り……なんと大型発電所2基分の電気が節約できるんですよ。

Image by iStock

板ガラスの世界シェアは当社がトップですが、これは当社がガラスを通して社会の成長に貢献した結果そうなったものです。ガラスの需要曲線はGDPの成長曲線と強くリンクしています。住宅、店舗、工場の建設など、経済発展を果たすためにはガラスが必要なのです。そこで当社は各国の経済成長に先回りして様々な地域に進出し、ガラスの供給体制を整えてきました。

売り上げ、利益は「目標」にはしますが、企業の「目的」は社会の役に立つことです。逆に売り上げを目的にすると、利益優先の組織になり、モラルハザードに陥ります。そして、どちらが大事かをハッキリ言うことこそトップの役割だと考えます。