グーグル、フェイスブックが大ピンチ?「GAFAM包囲網」が強まるワケ

追い詰められる「ニュー・モノポリー」
小出 フィッシャー 美奈 プロフィール

「モノポリー解体」の歴史は繰り返すか

「ニュー・モノポリー」へのバッシングが高まる米国の今の政治的空気は、「オールド・モノポリー」に対する反感が高まった100年前の時代に通じるところがある。

「トムソーヤ」を書いたマーク・トウェインが「ギルデッド・エイジ  (金メッキ時代)」と呼んだ19世紀終わりから20世紀初頭は、鉄道王のバンダービルトや鉄鋼王のカーネギー、原油王のロックフェラーなど、新技術とそのインフラを握った少数の資本家達が、またたくまに市場を席巻して莫大な富を蓄えた時代だ。

ゲイツやベーゾスなどGAFAMの創始者達を、現代のカーネギーやロックフェラーに例えることもできるかもしれない。

 

1913年までは所得税もなく、「金メッキ時代」に貧富の格差は極端に拡大した。資本の恩恵から取り残された地方や労働者の間にはエリート層に対する敵対感情も高まり、富を見せびらかした成り上がり富豪らは、当時のメディアや庶民から「泥棒貴族(ロバー・バロンズ)」と揶揄された。農村部ではポピュリズム運動が起き、新移民など都市部の労働者の間では社会主義政党が躍進した。

1911年にはポピュリスト大統領として庶民の人気の高かったセオドア・ルーズベルトが、それまで休眠法だったシャーマン反トラスト法を活用して、ロックフェラーのスタンダードオイル(今日のエクソンモービルやシェブロンなどにつながる)を解体させた。

今の米国でも、グローバル大企業のオーナーや役員など少数の富裕層と一般勤労者の格差が拡大し、右のトランプ、左のバーニー・サンダースの支持層に見られるように、党派を超えてポピュリストのスローガンに人気が集まる。

果たして今の論議がGAFAM「解体」まで高まるかどうかは疑問だが、米国では過去の経験から大企業のインフラ独占解消のメリットを指摘する声もある。

AT&Tは80年代に分割される以前、第二次大戦後直後にも司法省から反トラスト訴訟を起こされた。1956年の結審では企業分割には至らなかったが、競合への非排他的な技術供与が義務付けられ、これによって半導体を中心とするベル研究所の優れた技術が広く解放されることになった。

シリコンバレーの半導体産業の開花はここから始まっている。反トラスト法がなければ今日のインテルやシスコなどの企業も生まれておらず、ワイヤレスネットワーク、コンピューター、通信機器などに関わるベル研究所の多くの技術は眠ったまま、世界の人々の生活に役に立っていなかったかもしれないのだ。

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さて、ネット企業に個人情報を使った広告をさせたくなければ、多くの場合は代わりに購読料を払うということになるのかもしれない。

水も空気もインターネットもタダではない時代のようだ。

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