世界的投資家ジム・ロジャーズ「私は日本関連資産を全て手放した」

日本の凋落ぶりには、めまいがする
週刊現代 プロフィール

安倍はあべこべ

先人たちがずっと先延ばしにしてきたツケをひたすら払わされ、生活水準が目も当てられないほどに落ち込めば、当然のこととして社会不安が膨れ上がります。

30年後、人々の鬱憤はあらゆる形で噴出し、日本は、より多くの犯罪が起こる国になります。政府に対する反乱や暴動が、毎日のように起きているかもしれません。

そうなったとき、残された手段は国を捨てて逃げ出すか、あるいは自分の身を守るために武器をとるしかありません。冒頭の私の発言には、そういう意図が込められているのです。

「日本は違う、そんなことが起きるはずがない」と思っていませんか?
しかし、'80年代後半、日本で大型のバブルが発生したときも、「日本だけは違う、バブルではない」と強気に言い張っている人がたくさんいました。

その後、日本経済がどんな結末を迎えたかは、皆さんがご存知のとおりです。「自分たちだけは違う」という根拠のない思い込みほど、危険な兆候はないのです。

 

先ほどの日本株の話に戻すと、そもそも私が日本株を買い始めたのは、東日本大震災の直前でした。その後、震災による株価の下落を受けてさらに買い増しを進めていました。というのも、短期的に見れば、日本の景気は間もなく回復すると踏んでいたからです。

それに、日銀も資金供給を増やすという方針を明らかにしていました。政府が印刷機を回すとき、おカネが最初に向かう先が株式市場であることは、自明の理です。

実際、黒田東彦総裁が率いる日本銀行がジャブジャブと紙幣を刷り、日本株や日本国債をたくさん買ったことで、日本の株価は跳ね上がりました。

逆に言えば、ここ数年の日本株の活況はあくまでも日本政府が人工的に株価を上げているに過ぎず、実態が伴っていなかった。

景気にしても、異次元の金融緩和で円という通貨の価値を切り下げたことで、一部の大手企業がその恩恵を受けるのみでした。一般的な日本人の生活や暮らしが改善したかといえば、答えははっきりNOでしょう。

そして、このアベノミクスの一番危険な点は、人工的に低金利の状況を作って、借金をしやすくしていることにあります。

雪だるま式に増えている日本の借金は、猛烈なペースで進む人口減少のなかでは、健全に返済していくことはとうてい不可能です。

将来のことを考えれば、日本政府がただちにやるべきことは、財政支出を大幅に削減し、同時に減税を進めることです。この2つを断行すれば、状況は劇的に改善したはずです。

ところが、安倍首相がやったのはすべてこれとは真逆のことでした。彼が借金に目をつぶっているのは、最終的に借金を返さなくてはならない局面になったときには、自分はすでにこの世にいないからなのでしょう。

これから20~30年後に歴史を振り返ったとき、安倍首相は、日本の経済に致命傷を与えた人物として、その名を刻んでいるはずです。

そして冒頭で述べた通り、日本が抱える最大の問題は、言うまでもなく極端に高齢化が進んだ、その人口構成にあります。

日本は世界でもっとも出生率が低い国の一つであり、かつ、国民年齢の中央値が世界で最も高い国の一つです。人口動態から見れば、21世紀の終わりを待たずして、日本の人口がいまの6割ほど、約7500万人程度になるのは明らかです。

人がどんどん減っていくという絶対的な危機を乗り越えるには、選択肢は2つしかありません。すなわち、いまいる日本人に子どもをたくさん産んでもらうか、あるいは他国からの移民を受け入れるかです。

現在の日本の人口を維持するには、女性1人あたり2人以上の子どもを生む必要があるとされています。ところが、実際の出生率は1・4人程度ですから、遠く及びません。

となれば、残るは移民を受け入れることしかありません。移民の受け入れは日本にとってもはやbetterではなく、mustの選択なのです。ところが、日本政府は、事ここに及んでも、積極的に移民を受け入れようとはしていません。

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