世界的投資家ジム・ロジャーズ「私は日本関連資産を全て手放した」

日本の凋落ぶりには、めまいがする
週刊現代 プロフィール

米中貿易戦争の余波

そして三つ目は、世界に目を転じたとき、'08年のリーマンショックに続く、「第二の世界金融危機」が刻一刻と近づいているということです。

アメリカはいま、10年以上にわたる史上最長の財政的問題を抱えています。'18会計年度のアメリカの財政赤字は、7790億ドル(約84兆円)にのぼり、世界のどこかで経済危機が起これば、一気に破綻しかねない危険性をはらんでいます。

トランプ政権と、習近平率いる中国との間の貿易摩擦も激化の一途をたどっています。私は、今年の後半から来年にかけてトランプ氏はより本格的な貿易戦争をしかけると予想しています。

最終的に、中国からのすべての輸入品に超高額の関税をかけ、一時的な国交断絶に陥ることも想定しなければなりません。

関税が強化されれば、そのコストはアメリカ国内の企業と家計に重くのしかかり、インフレが一気に進みます。それによって消費の減退と、金利の上昇が起こり、結局は、アメリカ自身も苦しむことになる。

大量の公的債務を抱え、かつアメリカと一蓮托生の貿易大国である日本は、この戦争の大きな被害を受けることになります。

7月24日には、日産の営業利益が前年同時期に比べて約9割減になるという衝撃的なニュースがありましたが、これもアメリカ市場の不振の影響を受けたものです。今後、同様にアメリカ経済の落ち込みの影響を受ける日本企業がたくさん出てくるでしょう。

こうした国際的な要因は、消費増税やオリンピックの反動といった国内的な要因と相まって、数十年の中・長期的視野で見た際に、日本経済に甚大なダメージを与えることになります。

 

すでにご存知の通り、日本は先進国の中で最悪の「借金大国」です。抱えている長期債務残高は、国だけで897兆円にのぼります。約10年前の'08年度末の時点では546兆円だったことを考えれば、恐ろしいペースで増えていることがわかります。

そして、ベネズエラやジンバブエなどの例をあげるまでもなく、莫大な債務を抱えた国は、歴史上例外なく無残な終焉を迎えています。

いま50歳前後の日本人であれば、30年後は80歳ですから、誰かがケアをしてくれるかもしれません。国庫に老年人口を支えるおカネもギリギリ残っているでしょう。

しかし、その頃40歳になる、いま10歳の日本の子どもたちが老後を迎える頃には、生活を保障するおカネはどこにも残されていません。

結局、借金はさらに膨張し、その返済のための延命措置として増税が度々くり返されることになります。しかし、絶対的な納税人口が減少していく以上、とても返済しきれないので、今度は年金などの社会保障がすさまじいスピードで取り崩されることになるでしょう。

日本人の生活水準はそうして徐々に悪化し、生活苦にあえぐ人々が激増し、いよいよ打つ手はなくなります。

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