五輪代表225人、獲得メダル20個! 自衛隊体育学校の秘密に迫る

第1号は64年東京五輪の三宅義信選手
黒田 順子 プロフィール

国内トップレベルのトレーニング環境

自衛隊体育学校は、東武東上線和光市駅から30分ほど歩いた川越街道沿いの朝霞駐屯地内にあります。

入口付近では、迷彩服にヘルメット姿の自衛官が乗ったカーキ色の幌付きトラックやジープが行き交い、なんとも物々しい雰囲気ですが、ゲートを超えると街路樹や緑の芝生が広がるラグビー・サッカー場があり、広大なスポーツパークを歩いているような気分になります。

ようやく現れた校舎を抜けると、照明付きの全天候型400mトラックがある陸上競技場が見えてきます。ほかにも日本水泳連盟公認のプール、マット4面を有する国内最大級のレスリング場や、ボクシング場、柔道場、馬術訓練場、射場、バイアスロン競技場があり、自衛隊で唯一、馬を飼育しているため、馬術が必須である近代五種競技の訓練も可能です。

今年の春には、低酸素環境でトレーニングができる最新の施設も完成しました。わざわざ海外まで高地トレーニングに行かなくてもいい時代がやってくる日も近いのです。

 

1年ごとに評価され、成績が悪いと退校

自衛隊体育学校に所属する選手たちは、みんな自衛官としての階級を持ちます。

給料は、その階級に準じたものが支払われるのですが、体育学校の学生になるには2つのルートあります。

1つは自衛官候補生・一般曹候補生として部隊に配属され、2度の選考に合格してアスリートになる。

もう1つは、世界的に活躍できる資格がある「体育特殊技能者」として採用されるというルートです。

当然、後者はエリート中のエリートですが、1年ごとに選考が見直され、競技成績が悪いと体育学校には残れず、自衛官としての道に進むことになります。

しかも、選手としてのランク付けもされ、それにより待遇も変わるのです。

世界でもトップクラスのSA級ランクは現在5人

一番上の「SA級」になれるのは、オリンピック代表や世界選手権のメダリスト。またはJOC認定の特別強化選手のみです。

「A級」は、世界選手権・アジア大会代表選手。
「B級」は、全日本選手権で3位以内か、国体・全国大会優勝選手。

現在、「SA級」の選手は5人います。

リオデジャネイロ・オリンピックの男子水泳4×200mで銅メダルを獲得し、イケメンスイマーとしても人気の江原騎士(ないと・25歳)選手。

2018年柔道世界選手権・女子78kg級金メダルの濱田尚里(しょうり・28歳)選手は、東京オリンピックでも金メダルが期待されています。

フェンシングの山田優(まさる・24歳)選手は、今年開催されたワールドカップ・アルゼンチン大会団体戦(エペ種目)で優勝。これは日本史上初の快挙でした。

また、小さい体から炸裂するパンチ力に定評がある女子ボクシング・フライ級の並木月海(つきみ・20歳)選手は、2018年の世界選手権で銅メダルを獲得しました。まだまだ伸び盛りで勢いのある選手です。

そして、昨年の世界競歩チーム選手権50kmWで銀メダルの勝木隼人(28歳)選手は、一般隊員として自衛隊に入隊し、自衛隊体育学校で見事に才能を開花させた1人です。

こうしたランキングは、常に学校の壁に張り出され、3ヵ月ごとに更新されます。

壁に貼り出されたランキング表

強い選手や若い選手にとっては励みになるでしょうが、SA級だったスター選手がB級に落ちることもあります。敷地内にあるトレーナー室でマッサージを受ける順番も、SA級の選手が最優先です。

選手たちは、否が応でも自分の立場を実感し、強くなること、そして競争世界で勝ち抜くことを常に求められながら生活しているのです。

編集部からのお知らせ!

関連記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/