大不漁のサンマ、出漁「前倒し」で魚のプロたちがそっぽを向いた理由

初夏の「先取り」は必要なのか?
川本 大吾 プロフィール

寄港してサンマが水揚げされれば、その場で一定の評価を付けて買い取る業者が必要となる。

結局、根室港などに限定された早取りサンマは、6月末までに3千数百トンほどで「思ったよりも漁場が遠く、少なかった」と大型船の関係者。

水揚げされたサンマは、地元・北海道のほか、東京などの都市部で一部は生のまま1匹200円ほどで販売されたたり、料理店などへの業務用として引き取られたりしたほか、冷凍され加工品の原料となったようだ。

外国船に負けまいと漁獲したが、質・量ともに振るわず、日本の消費者にとって印象が薄い結果となった。

大型船の早取りが終盤を迎える中、例年通り北海道の小型船の漁は7月8日に解禁され、数日以後に釧路港で初水揚げされた。札幌市場での競りの結果は、キロ20万円という昨年の半値以下。

 

「大型船の初物がすでに出回っていた影響」と見る向きが多く、小型船の関係者にとっても悩ましい船出となった。

サンマの早取りがその後に与える影響について水産庁は「近年、公海から日本沿岸にサンマが近付かない傾向があり、5~6月に取ったからといって、必ずしもその後の漁獲に影響するとは言えない」とみている。

サンマ早取りのサンマ 東京・豊洲市場(江東区)にて筆者撮影

サンマも「国際管理が必要」な魚に

サンマは従来、たっぷり脂を蓄えながら日本から離れた公海を北上し、秋に近海を南下するとみられてきたが、「最近は漁場が沖合寄りで薄く、分散する傾向」(研究者)だという。日本の漁業者にとってはマイナス要素が重なっており、かつての豊漁がにわかに蘇るとは言い難い。

サンマ資源の保護を目的に7月中旬に開かれた日本や中国、台湾など8ヵ国・地域による国際会議では、来年から年間55万6000トンという関係国・地域の総漁獲枠を設けることで合意。国・地域別の配分は来年決めるという。

サンマ漁業国・地域の全体の漁獲実績は、ここ数年、今回決まった総枠を下回っているため、厳しい規制とは言えないが、サンマは日本だけでなく、国際管理が必要な魚種になったことは間違いない。

このまま不漁が続けば日本のサンマの早取りはおろか、「目黒のさんま」も昔話になってしまうのかもしれない。