大不漁のサンマ、出漁「前倒し」で魚のプロたちがそっぽを向いた理由

初夏の「先取り」は必要なのか?
川本 大吾 プロフィール

サンマ小型船の業者団体は、大型船の早取りについて「われわれにとって良いことは何もない」と嘆く。

初物を奪われるだけでなく「先に取られれば、その後のサンマの来遊量にだって影響が出ないはずはない」と道東小型さんま漁業協議会(釧路市)の幹部。「昨年から大型船の早期出漁への働きかけに反対していたが、今となっては仕方がない」と肩を落とす。

後発隊になってしまった無念に加え、時期外れのサンマに対し「消費者のイメージダウンも心配」(同協議会)と青色吐息だ。

沖縄などを除き日本の大半が梅雨入り前、猛暑に襲われていた5月下旬から、100トン以上の大型サンマ棒受け網漁船20隻近くが、太平洋の公海へ向けて出港。異例の早さでサンマシーズンがスタートした。

サンマ棒受け網漁Photo by PhotoAC

サンマ漁の栄枯盛衰

初夏にサンマを取りに行って採算が合うのか疑問だが、大型船の漁業関係者は雲をつかむような心境で出漁したわけでなはない。

台湾や中国の漁船がサンマ漁を行うのは、この時期に集中しているという。サンマの群れは秋から太平洋の日本沿岸を南下するが、台湾や中国沿岸に来遊するわけではないから無理もない。

水産庁によると、日本が漁に出ていなかった5~6月に公海でサンマの魚群が目立ちはじめたのは3年ほど前からだという。日本のサンマ漁が振るわず、先行きに黄信号が灯り始めたころだ。

 

振り返ると日本のサンマの漁獲量は1990年ごろから、年間20万トン以上が当たり前で30万トンを超えることも。秋には「豊漁貧乏」「取っても取っても赤字が増えるだけ」といった悲鳴が上がるほどだった。

ただ消費者にとっては朗報で、最盛期にはお盆過ぎに大きなサンマが1匹100円を切る特売が実施され、スーパーの「客寄せ商品」となっていた。

サンマ特売Photo by amadeusrecord / Flickr

ところが、2010年ごろから様子が変わり、日本のサンマ漁はじり貧状態。その一方で、台頭していたのが台湾などの外国船。日本がサンマを独占していた時代は終わり、近年は日本の漁獲よりもむしろ台湾や中国など、外国勢が主流となっている。