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大不漁のサンマ、出漁「前倒し」で魚のプロたちがそっぽを向いた理由

初夏の「先取り」は必要なのか?
冷凍魚や養殖魚の普及、さらにはウナギやイカ、サケなどの不漁もあって、最近は「店頭に並ぶ魚に季節感がなくなった」と言われる。

その中で「秋の味覚」として不動の地位を築いてきたサンマも例外ではなくなってきた。

今年から大型サンマ漁船が、例年より3ヵ月も早い5月下旬から操業を開始した。出漁の前倒しによる初夏の生サンマをめぐって、北海道や三陸の漁港、東京・豊洲市場(江東区)の魚市場でちょっとした論争が起こった。

首都圏大手スーパーからも「なんで梅雨入りより先にサンマなの?」と疑問の声も。サンマの先取りに関する魚関係者らの葛藤をリポートする。

通年操業を許した農林水産省の「言い分」

農林水産省は今年3月、大型サンマ漁船について、これまでの8月~12月末に制限していた漁期を撤回し、今年から通年可能にする規制緩和を決めた。

ここ数年、極端な不漁となっている一方、台湾や中国、韓国漁船が日本より先に公海でごっそりサンマを漁獲。「外国船の先取りが日本のサンマの不漁要因」といった指摘も、規制緩和の背景にある。

サンマサンマの水揚げ Photo by PhotoAC

サンマの漁期に制限がなくなったことで、消費者に季節外れのサンマが提供されることになった。

「秋の味覚の季節感が薄れてしまうのはないか」といった疑問の声に、吉川貴盛農水相は3月上旬の記者会見で「私もその通りだと思うが、今、サンマは(冷凍魚などを含め)年間通して販売されている」と、冷凍物の出回りによりサンマの塩焼きが年中食べられ、もともと季節感は薄れている点を指摘した。

その上で吉川農水相は、漁期制限がなくなり操業期間が延びることから「しっかり資源管理の枠内で漁も行っていただきたいと思っている」とした上で、「やはり消費者には旬の秋にサンマを十分楽しんでもらいたい」とも述べている。

漁期の制限を取っ払った農水省トップが、漁業者には「資源管理を守って」、消費者には「サンマはやはり秋に楽しんで」とは、少々都合がいいように聞こえるのだが……。

 

小型船は「踏んだり蹴ったり」

季節外れのサンマが出回ることに、北海道の小型サンマ漁船の漁業者は、強い警戒感を示した。

例年、国許可の大型漁船が出漁する1ヵ月ほど前の7月上旬に近海で操業を開始し「初サンマ」を根室港や釧路港に水揚げしていた小型船。昨年はこの初物が札幌市場で競りにかけられ、1キロ当たり50万円という過去最高値のご祝儀相場が付いて話題となった。

これは当然、1年中出回る冷凍物ではなく、取れたての生サンマ第1号だからこそ価値があるのだが、今年は生サンマの初物を大型船にさらわれてしまう。小型船の出漁解禁は近年7月8日で、操業期間は1ヵ月もない。出漁まで指をくわえて待つしかないのだ。