技術が多様化し、複雑化した現代においては、一社だけでイノベーションを起こすのは難しい。
これからは世界中を見渡し、“餅は餅屋”で要素ごとにその道のプロと組むことが求められる。時代の変化に応じて、いかに最良の技術を組み合わせ、スピーディーにサービスを届けられるかがサービスに対する評価の分かれ目となっていくだろう。
そのためには、“本物の餅屋”を見極める目が重要だ。大手企業に限らず、ニッチな業界の先端的をいく若いベンチャーやスタートアップをパートナーに迎え入れていく姿勢も必要になる。
私自身がベンチャーキャピタル企業の代表を務めるなかで、AIやブロックチェーン、SaaSなどさまざまなスタートアップからの出資要請の提案を受けて思うのは、もはやこれらを自前でまかなうことは到底ムリなのだから、どのようにしてコラボレーションするかが重要だということだ。
だからこそ、発注側のトップがまず意識を変えなければならない。
現代の技術はどこまで進んでいるのか、何ができて何ができないのか。技術的なトレンドをキャッチアップし、センスを磨いていくべきである。
キャッチアップの方法としては、周りにブレーンとなる人物を配置したり、自社でベンチャーキャピタル事業を行って最先端の情報にアクセスできるチャネルを作り、ノウハウや知見を集めるという手もあるだろう。
日本のIT開発ビジネスの構造にメスを入れられるのは、発注側自身。
発注側がオーケストラの指揮者のような目を持ち、各パートのプロを集め、それぞれが最大限の力を以って1つのサービスを作り上げていく──そんなビジネスの形が今求められているのかもしれない。