7payだけじゃない!大企業が「システム開発」で失敗する必然的理由

発注側が考え直すべき「常識」とは
永田 豊志 プロフィール

IT業界の二極化

一言にITサービスの開発会社と言っても、実は業界の構図は今、大きく二極化している。

一方は、昔から基幹システムなどを作ってきたSIer(システムインテグレータ)と呼ばれる企業。もう一方は、当社のようにクラウド型でITサービスを提供するSaaS企業だ。

両者の最も大きな違いは、“ゴール”が異なることにある。

 

SIerの場合、多くが売り切り型のシステムを提供しており、クライアントへ納品した時点で大きな売上が発生する仕組みになっている。つまり、SIerのビジネスにとって納品は“ゴール”と言える。

一方、SaaS企業の場合は納品しただけでは売上は生まれない。

月額固定や利用量に応じた料金を毎月払うサブスクリプション型でシステムを提供するSaaS企業にとっては、納品後の継続運用こそがビジネスの要だ。納品がある意味での“スタート”となる。そもそも、価値提供における時間軸が正反対なのだ。

“納品がゴール”であるSIerと、納品がスタートで“継続運用がゴール”であるSaaS企業。ゴールが違えば、当然それぞれのプロセスも異なる。

大手企業の大きな予算を預かって長期に渡り開発を行うSIerは、従来のゼネコン的な下請け構造が根づいている。

仕様に数ヶ月かけ、それをもとに縦割りのウォーターフォール式の開発環境では、必ずしも先端技術を持つエンジニアが上流工程のチームにアサインされるとは限らない。

仮に下請けを担う者が仕様書に穴を見つけたとしても、その声が上流まで届くかは定かではないし、当人にインセンティブが発生するわけでもないのでそもそも指摘するメリットすら感じないだろう

つまり、開発途中に仕様の変更や改善がエスカレーションしづらい仕組みになっているのだ。