米中貿易戦争は、中国経済に意外に大きな打撃を与えている。製造業の生産が落ち込み、外資が脱中国の動きを鮮明にしている。
米中貿易戦争は、アメリカの雇用を増やすというよりは、中国の成長を叩き潰すための戦いであることが明らかになりつつある。
貿易戦争で中国の対米輸出が減少
2018年7月に米中双方が第1弾の制裁関税を発動して、米中貿易戦争が始まった。今年5月には、米中貿易協議が決裂したことを受けて、アメリカが年2000億ドル分、中国が600億ドル分の相手国産品に対する追加関税率を最大25%に引き上げた。米中貿易戦争は、簡単に収まりそうにない。
この間の米中貿易の推移を見ると、図表1、2のとおりだ。
図表1 アメリカの対中貿易額(月額、単位:100万ドル、資料: US Census Bureau)

図表2 アメリカの対中貿易伸び率(%、資料: US Census Bureau)

18年夏以降、中国からアメリカへの輸出は減少傾向にある。
中国税関総署が7月12日に発表した貿易統計によると、6月の対米輸出は、前年同月比7.8%減の392億ドル、米国からの輸入は同31.4%減の93億ドルだった。
上半期(1~6月)の対米輸出は前年同期比8・1%減、輸入は同29・9%減となった(注:相手国別統計がある「中国税関」のサイトは、現在、ブロックされていて閲覧できない。米中貿易額を見るには、アメリカ Census Bureauの輸出入統計を見るのがよい)。
このように、米中間貿易は、大きく変化している。
他方で、中国の全世界向け輸出額、輸入額の推移は、図表3に示す通りだ。
図表3 中国の輸出入額・月額(単位:1000ドル、資料:中華人民共和国国家統計局)
中国の貿易額は毎年2月には春節(旧正月)休暇の影響で落ち込むが、それを均して見ると、大きな変化はない。大まかに言えば増加気味だと言ってもよい。