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日本人の英語力が伸びない二つの根本理由

学習法を変えれば、人生も変わる

フィットネスや金融教育、英会話……。近年、期間集中で高い成果を出す「3カ月メソッド」のサービスが数多く展開されている。創業3年、英語コーチングスクール「PROGRIT(プログリット)」もそのひとつ。サッカー選手の本田圭佑氏が受講し、今年4月に発売された『英語学習2.0』が話題となっている。

3カ月の間、1日につき3時間を自習に充てることで、英語で議論や交渉ができるような実践的な英語力を身につけるというが、なぜ、半年でもなく1ヶ月でもなく、3カ月なのか。そもそも、そんな短期間で結果を出すことができるのか。創業者・岡田祥吾氏に話を聞いた。

 

日本人の英語力が伸びない理由は2つ

――語学やフィットネスなどの分野では、これまでは一年や二年といったスパンで長期間続けさせることで、会員費やレッスン料を発生させるビジネスが主流でした。しかし昨今、3カ月で会員に成果を出してもらうという、発想を転換したビジネスが増えています。なぜ3カ月メソッドが増えているのかをお聞きしたいのですが、まずは、プログリットを創設した経緯を教えてください。

岡田 立ち上げの理由はシンプルで、しっかりと英語力が伸びるサービスを作りたいと思っていたからです。世の中に英語学習サービスは山ほどあって、市場規模は約2100億円と右肩上がりなのに、日本人の英語力は上がっていない。ということは、そこがしっかりと伸びるサービスを作れば、絶対にビジネスになると思ったんです。

――どういう指標から、日本人の英語力が伸びていないと判断したのですか?

岡田 大きく分けて、2つの理由があります。

まず、英語力の指標のひとつであるTOEIC(R)平均スコアの推移を見ると、多少の変化はありますが、十数年に渡ってほとんど伸びていません。2017年の国際比較では47カ国中39位と、極めて低い数字が出ています。

もうひとつの根拠は、自分自身が様々なスクールに通った経験と、周囲のビジネスパーソンの反応です。もともと私はマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社したのですが、入社当初、ミーティングの内容がまったく理解できず、英語の議事録を作ることもままなりませんでした。

そこで、ワラにもすがる思いで、仕事の合間を縫って英会話レッスンに通ったんですが、“英語を勉強しているという安心感”はあっても、英語力が伸びた実感はまったくありませんでした。

同僚や知り合いの中にも英会話スクールに通った人たちがいましたが、彼らも「あまり意味がなかった」と口を揃えていた。サンプルは20人程度ですが、もっと意味のあるサービスがあるんじゃないかと感じていました。

学習とエンタメのニーズが混在していた

岡田 先ほど、英語学習サービスの市場が2300億円程度だと申し上げましたが、このなかには2つのニーズが混在していたんです。それは、「英語力を上げたい」という切実なニーズと、「英語を楽しみたい」というエンタメのニーズ。にもかかわらず、これまでは「英語=英会話スクール」という思い込みが定着し、選択肢がひとつしかありませんでした。

英会話スクールで外国人の先生と話すのって、単純に楽しいんですよ。つまり、エンタメとしては楽しめる。でもそれは、駅前のHUB(外国人客が多いアイリッシュパブのチェーン)で知らない人たちと飲むのが楽しいのと同じです。楽しくおしゃべりができるひとときを過ごす。

このように「勉強したいニーズ」と「エンタメのニーズ」の2つがあるのに、前者を満たすための選択肢はほとんどないから、本気で英語力を伸ばしたいと思っている人でも、とりあえず英会話スクールに行ってしまう。そういう状況が続いていた市場なんです。

従来型の英会話スクールに対して、少し厳しすぎるかもしれませんが、冷静に考えれば、一週間にたった1~2回、1時間英語を話すだけで、上達するはずがないんですよね。そんなうまい話なんかどこにもなくって、スポーツにしろ語学にしろ、本気で上達したいなら練習をするしかない。でも、週に一回スクールに通っているという「安心感」から、練習するモチベーションが生まれない。そんなケースをよく見てきたんです。

英会話レッスンというのは、スポーツに例えるなら練習試合。練習試合だけに出ていて、上手くなるはずがありません。練習試合のほかに、自分でひたすら練習をしないと意味がない。だから本気で結果を出したい人は、「英語=英会話レッスン」という幻想を捨てるべきでしょう。

ゴルフや草野球だって、週末に1度だけ、数時間練習するだけで、上達するわけがない。うまくなる人は、平日にも勝手に練習するわけです。自分で練習をできるように、その人に合わせたスケジュールや学習内容を管理する。それが、プログリットの役割なんです

英会話スクールの場合は、レッスンに対して授業料を払いますよね。僕らの場合は、どんな学習をどんなスケジュールでやるべきかといったコーチングやコミュニケーションに対して、お支払いいただいているという考えです。