なぜアメリカ人は「銃所持」に固執する?背後にあるトラウマの正体

それは「独立」にまで遡る
堀井 憲一郎 プロフィール

「銃」を捨てられない…

かつてインディアンと呼ばれた原住民は、広大な土地に100万人以上住んでいた。統一国を形成せずに、それぞれの部族ごとに集団を形成していた。

初期のアメリカ合衆国は、それぞれを「国」として認定し交渉をしていた。「スー国」「アリカラ国」「ミネタリー国」「カスカスキア国」「ポタワトミ国」「チカソー国」「チョクトー国」「チェロキー国」「クリーク国」「セミノール国」などなど(これは岩波新書『西部開拓史』猿谷要・著に載せられていた原住民の国名(部族名)の一部である)、何百と部族に分かれて社会を形成していた。

建国当時、ワシントン大統領やジェファーソン国務長官は、原住民の首長を一国の代表として対面し、国どうしの取り決めを交わしていた。初期アメリカは少し謙虚であった。しかしその取り決めは守られることがなかった。再三再四、約束を守るように各国の首長は訴えてくるが、現場では無視され続ける。19世紀の半ばには、この国は国土膨張に異様な執着を持ち、目の前にあるものをすべて薙ぎ倒していった。

 

原住民の国は各個に撃破された。19世紀の終わりには西海岸までを自分たちの土地とし、原住民の生活を潰した。原住民は不毛な土地を指定されて、そこへ閉じ込められた。

19世紀の初頭には115万人と推定されていたインディアン(原住民)の人口は、1870年には2万5千人にまで減少していた(「西部開拓史」に引用されたスタン・スティーナー『ニュー・インディアン』(1968年)より/21世紀現在は200万人以上いるとされている)。

アメリカ合衆国は、人さまの土地を力づくで奪って建てた国である。

近代に入り、宗教の時代が終わり科学の時代になっていたのに、そういう野蛮な方法で国を広げていった。

そういう土地に住む人たちが、「銃」を捨てられないのは当然である。

再び暴虐的な支配に出るかもしれない王国イギリス(これはないとおもうけど)、おれたちの土地を返せと言いだすかもしれない原住民(こちらは妄想の対象にはなりうるだろう)、それらに備えておかなければいけない。

力で奪ったものを、力で奪い返しに来られたら、話し合いでは解決しない。戦うしかない。いつくるかわからない。銃を持ってないと安寧は保てない。そういうふうに考えてしまうのは、ふつうだとはいわないが、アメリカの成り立ちを考えれば、しかたのないことである。