【世界遺産決定】稀代の建築家・ライトが日本をこよなく愛した理由

知られざる深い絆があった

世界遺産に選ばれた建築群

7月、ユネスコの会議において、フランク・ロイド・ライト(1867年〜1959年)が設計した建築群が、世界遺産に登録されることが決定した。

同じ設計者による複数の建築が同時に対象となるのは、ル・コルビュジエに続く画期的なケースだが、2人とも新しい近代的なデザインを開拓し、20世紀の建築界に大きな変革をもたらしたモダニズムの巨匠である。他にもう1名、近代の巨匠を挙げるとすれば、ミニマルなデザインのガラス建築を手がけ、オフィスビルのプロトタイプも創出したミース・ファン・デル・ローエだが、彼の作品は住宅が1件、世界遺産に登録されたのみだ。

グッゲンハイム美術館(ニューヨーク)

ライトは長い生涯に800以上の作品を手がけ、多作の建築家だが、今回、登録されたのは、落水荘、グッゲンハイム美術館、ロビー邸、ユニティ・テンプル、ホーリー・ホック邸、タリアセン、タリアセン・ウエスト、ハーバート&キャサリン・ジェイコブス邸の8件だ。

このうち、もっとも訪れやすいのは、ニューヨークの都心にある「グッゲンハイム美術館」だろう。これは美術品を陳列した螺旋状に展開するスロープ(斜路)が、トップライトをもつ中心の吹き抜けをぐるりと囲む、独特な空間構成で知られる。

シカゴの「ロビー邸」(1910年)と「ユニティ・テンプル」(1904年)も、比較的、見学しやすい作品であり、ライトが得意とする水平線を強調したデザインをもつ。前者は閉鎖的な部屋の連結ではなく、各部屋の空間が流動的につながる「箱の解体」を実現した。また後者は郊外の住宅地オークパークに位置し、まわりにはライトの自邸・スタジオのほか、数多くの初期の住宅作品が点在している。

落水荘(ペンシルヴェニア)

そして「落水荘」は、水が滝のように流れる上部に、キャチレバー(片持ち梁)が大きく張りだし、自然の風景に溶け込むような印象的なデザインだ。ピッツバーグから見学に行ける超豪邸だが、公共交通機関のアクセスはなく、自動車を使うしかない。