日本人が知らない「ウナギの闇」どうしてこんなに高くなったのか?

「土用の丑」が国際問題になるまで
松岡 久蔵 プロフィール

そこまでして食べたいのか

しかし、そもそもウナギはなぜここまで激減してしまったのか。中国や韓国での需要が伸びているせいだ、とみる向きもあるが、様々なファクトを検討してみれば、結局は「日本人が後先考えずに食い散らかしてきたから」というほかないのが実情だ。

 

かつては専門店で食べる高級品と位置づけられていたウナギだが、まず1990年から2000年前後にかけて消費量が激増した。パック技術の発達や、商社による中国での養殖が進み、スーパーや牛丼チェーンで提供されるようになったのはこの頃だ。

その過程で、安価な輸入ウナギのメインだったヨーロッパウナギが、2008年に最も深刻な絶滅危惧種I A類に指定された。さらに09年にはワシントン条約の附属書II にも載り、許可なしでの取引が全面禁止されたため、ニホンウナギが次の「標的」となった――というわけだ。全国紙経済部記者はこう話す。

「シラスウナギの高騰は、元をたどれば日本人のエゴが原因です。中国や台湾などから、『日本は今まで散々ウナギを食べておいて、今更なんだ』と言われても仕方ありません。今年4月の会議でも、シラスウナギの輸出が禁止されているはずの台湾産のウナギが香港経由で日本に入ってきていることが問題視されましたが、そうした不正取引の根っこには、日本人の度を越した食欲があると言わざるを得ない」

われわれ日本人は、過去にヨーロッパウナギを食べ尽くしたことを反省するどころか、密漁・密輸が横行し暴力団など反社会的勢力を潤し続けている現実を省みもせず、毎年ウナギを食べ続けている。

ウナギのかば焼きは恵方巻きと並び、季節モノの食品ロスの代表格とも言われる。だが本当に、そこまでして日本人はこれからもウナギを食べたいのだろうか。海外での消費量増加を嘆く前に、まずは自分たちの足元を見直す必要がありそうだ。

編集部からのお知らせ!

関連記事