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日本人が知らない「ウナギの闇」どうしてこんなに高くなったのか?

「土用の丑」が国際問題になるまで

ウナギを食べて夏を乗り切る――「土用の丑の日」が今年もやってきた。しかし、ニホンウナギの稚魚「シラスウナギ」の生息数が激減、価格が高騰していることが問題となって久しい。

高齢者に偏るウナギ消費の実態、実入りのいい「副業」となっているシラスウナギ漁と横行する密漁、規制のための国際会議を欠席し続ける中国の事情……ウナギにまつわる「闇」を今回、総力取材で全て明かそう。

 

消費者は圧倒的に「60歳以上」

一般的に、ニホンウナギは稚魚のシラスウナギを養殖池で約半年飼育し育てた後、卸業者に出荷される。現在の技術では稚魚の養殖が不可能なため、国内の不足分は輸入で補っている。

しかし2018年漁期(17年11月~18年4月)は、中国や台湾など東アジア全域で漁期が遅れたことでシラスウナギの調達が困難となり、取引価格が高騰。今年(18年11月~19年4月)の池入れ量は前年の14・2tを上回る15・2tとなったが、国内採捕量は過去最低の3・7tを記録し、4分の3が輸入品という状況だ。

水産庁によると、中国産など輸入品を含めたウナギ稚魚の今年の平均取引価格は1kgあたり219万円と、極端な高値が付いた前年の299万円こそ下回るものの、それでも2年前の109万円と比べれば2倍以上。成魚の卸値も1kgあたり5000~5500円程度と、平年並より1割ほど高い。

うな重を専門店で食べると5000円程度の予算が必要だが、ただでさえ高いウナギがさらに値上がりすれば、庶民には手が出なくなるのも当然だ。

総務省の18年の家計調査によると、年齢層別(単身世帯)のウナギのかば焼きへの年間支出額は、34歳以下がなんとわずか18円、35~59歳が276円。それに対して60歳以上は1351円となっており、若者がまったくウナギにありついていない反面、年金や貯蓄で暮らしに余裕のある高齢者が圧倒的にウナギを消費していることが分かる。

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一方、近年では牛丼チェーンやスーパーで、1000~3000円と比較的手軽に楽しめるウナギも出回っている。専門店と、なぜここまで価格差があるのか? 水産専門誌記者はこう解説する。

「牛丼チェーンで提供されているウナギは、ほぼ間違いなく中国産です。中国で成魚まで育てたウナギを輸入するパターンで、人件費や加工賃、エサ代を抑えられるため、価格も安くできるのです。

一方、『日本産ウナギ』は稚魚から日本の池で育てたもので、専門店で提供されるものがほとんど。中国産も日本産も、稚魚まで遡れば同じものですが、専門店では職人が手で焼くので、そこでも付加価値が上乗せされるというわけです」