ビジネスで大切なことは『遊戯王』から学んだ…選択肢の重みとは何か

世界一売れているのには「理由」がある
宮﨑 雄 プロフィール

手札は「選択肢」、デッキは「可能性」

遊戯王OCGが重要視するリミットレギュレーションの、具体的な内容にも踏み込んでみましょう。よく見てみると細かく改訂されているだけでなく、コナミ側がプレイヤーたちにどのようにゲームを楽しんでもらいたいのかという思想も分かってきます。

そしてそこからは、我々が立ち向かっているビジネスというゲームにおける振る舞いへの学びも得ることができるのです。

さて、リミットレギュレーションで禁止されているカードで最も目につくのは、手札に干渉する効果をもつカードたちです。

 

たとえば、自分の手札を増やすカード。『強欲な壺』という禁止カードは、デッキから2枚のカードを引くという効果を持ちます。これはカード1枚で2枚のカードを手に入れることができる……つまり、5000円と1万円を交換するようなもので、非常に強力です。

また反対に、相手プレイヤーの手札を破壊するカードも多く禁止されています。代表的な禁止カードである『強引な番兵』。ノーコストで相手の手札を見て、選んだ1枚をデッキに戻すという効果を持ちます。相手の出方を見つつ、嫌なカードがあったら消してしまえるのです。

こうした手札に干渉するカードをコナミが禁止しがちなのは、ゲームにおける駆け引きを大事にしているからです。遊戯王OCGの公式サイトでは、カードの使用を制限する理由をいくつか解説していますが、そこには「デュエルの駆け引きの要素が激減するようなカード・コンボへの一定の規制」とあります。

駆け引きは、プレイヤーに「選択肢」があるときに起こります。そしてカードゲームにおける選択肢とは、手札そのもの。プレイヤーが使用できるのは基本的に、手札にあるカードだけだからです。選択肢(手札)が多いほうが駆け引きで有利となり、駆け引きで優位に立てばゲームを優勢に進めることができます。

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コナミには、特定の強いパワーを持つカードを引けたかどうか(つまり運)でゲームの局面が大きく左右されてしまうのを避けたいという意図があるのでしょう。

一方で面白いのは、相手のデッキへの破壊行為はそこまで規制を受けていない点です。デッキは「将来的に手札に入るかもしれないカード」、つまり「可能性」に過ぎません。それが無くなったところで、眼前の駆け引きへの影響が大きくないからではないでしょうか。

くわえて、もし相手プレイヤーの山札を破壊しようと思ったら、そのときは自分の手札を消費しなければなりません。それは言わば自分の選択肢と、相手の可能性の交換であり、割に合わないケースが多いのです。