ビジネスで大切なことは『遊戯王』から学んだ…選択肢の重みとは何か

世界一売れているのには「理由」がある
宮﨑 雄 プロフィール

これは、大規模なテストプレイ改善の2つの意味合いで捉えることができます。

私がボードゲームデザイナーとしてゲームをデザインする際には、必ずテストプレイという工程を行います。企画したゲームを商品として大量生産する前に、本当に遊んで面白いのかをチェックし、改善していくのです。

ゲームデザインはプレイヤーの体験をデザインすること。だからこそプロダクトをつくるだけではなく、体験自体のテストを経なければ、実際のプレイに耐えるゲームは絶対に完成しません。

それでも、実際にリリースしてから「このルールの方がいいのではないか」「こんな遊び方もできるのではないか」というアイデアが、プレイヤーから沢山出てきます。それらの意見を版を重ねる時に取り入れることもあります。そうしてどんどんゲームを面白くしていくのです。

遊戯王OCGのリミットレギュレーションの改訂は、まさにこのテストプレイの結果を受けて行うルールの改善と言えます。

 

これまでに膨大な種類のカードがリリースされている遊戯王OCG。よって、新しいカードがリリースされる前に、それらが過去のカード群と、どうシナジーを発生させ、ゲームバランスを崩壊させてしまうかを判断するのは不可能です。そこで遊戯王OCGは、リリース後の大会などでプレイヤーたちのカードの使用の仕方からフィードバックを受けて、リミットレギュレーションを改訂し続けています。

たとえばあまりにも強すぎるカードが判明して、それが入手の難しい貴重なカードだった場合。それを持っていないプレイヤーや、新規プレイヤーがゲームを楽しむのが難しくなってしまうでしょう。そこでデッキに投入できる枚数を減らすなどしてカードのパワーを下げるという措置を取ったりするのです。

こうした細かな調整が、遊戯王OCGのゲーム体験を高レベルで担保し、既存プレイヤーたちを捉えて離さず、また新規プレイヤーの参入障壁を下げているのだと考えられます。