フィギュア・スケート選手、デニス・テンさんが非業の死に倒れてから1年。7月19日の命日には、その追悼式がカザフスタンの事故現場に建てられた記念碑の前で営まれた。さらに翌日には、「Denis`Friends」というデニスさんの友人の世界各国のフィギュアスケーターが出演する追悼公演があった。

日本からは、追悼式とショーに参加した浅田真央さん、無良崇人さん、そしてショーには参加できなかったが、高橋大輔さん(高橋の「高」は正式には「はしご高」)の3名が慰問に訪れた。命日と追悼ショーに関して、現地から流れてくるニュースや情報。そこから見えてくるのは、デニス・テンさんへの世界中からの「想い」だった。ライターの田中亜紀子さんにそれらの「想い」をまとめてもらった。

デニス・テンの顔が大きく映し出されたスクリーンのある追悼アイスショー会場にて。現地のメディアも多く報道していた 「TENGRI NEWS」より

命日の前日に京都の悲しい事件が

2018年7月19日、信じられない事件に巻き込まれ、「カザフの英雄」と呼ばれたフィギュアスケート選手のデニス・テンさんは25歳で亡くなった。真昼のカザフスタンの都市アルマトイで、彼の車のミラーを盗もうとしていた二人組とはちあわせし、スケーターの命ともいえる脚を執拗に刺され大出血した。彼が倒れていた場所は不運にも死角だったのか、発見が遅れ、手術が行われたものの、世界中のスケートファンの祈りも空しく出血性ショックで亡くなるという痛ましい結果になってしまったのだ。

そのノーブルなスケートはもちろん、優しくリーダーシップがあり、人間的魅力にあふれたデニスさん。その理不尽すぎる死を、今も世界中のファンが惜しみ、悲しんでいる。

人生は不公平だ。それは知っている。そしてどこにいても、どんな災難にまきこまれるかもわからない。そんな世に我々は生きている。おりしも7月18日、デニスさんの命日の前日に日本では放火による爆発火災で、京都アニメーションの社員30数名の命が奪われる事件があった。突然の悪意による暴挙で、何も悪いことをしていない方々の命が理不尽に奪われる無念と悲しみ、そして怒り。

そんな気持ちが新たに湧き上がって迎えた、デニスさんの1周忌の7月19日。朝に翌日の追悼ショー「Denis`Friends」に出演するデニスさんの友人スケーターたちの集合写真がSNSで流れてきた。そこには、「浅田真央サンクスツアー」滋賀公演を終え、カザフスタンへ飛んだ浅田真央さんと無良崇人さんの姿もあった。

「Denis's Friends」の看板の前に立つ無良崇人さん。看板には無良さんと浅田真央さんの姿も見える 無良さんが所属する「team.orangecheers」公式インスタグラムより
7月18日に「明日は追悼式」というコメント共に公開された無良崇人さんインスタグラム。追悼ショーに参加するスケーターたちと 無良さん所属「team.orangecheers」公式インスタグラムより

この日はスケートファンの方たちが、デニスさんへのメッセージや思いと共に、彼の思い出の写真や演技の動画をSNSにアップ。カザフスタン共和国の大使館に献花に行った方々もいる。Twitterでは「#テンくんに花束を贈ろう」というタグをつけ、美しい花の画像をアップし、デニスさんへの供養の気持ちを託す多くの投稿もあった。

カザフスタンでは死者には赤い花を手向けるのだと、昨年知った方も多いのだろう。赤が目立つ色とりどりの花の画像の中には、カザフスタンの国花である、チューリップも数多くみられた。

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