〔PHOTO〕gettyimages

闇社会を長年取材をしてきた私が「吉本興業騒動」を笑えない理由

反社認定はこんなにも難しい…

メディアの吉本攻撃に欠けているもの

雨上がり決死隊の宮迫博之らが行なった闇営業問題は、宮迫と田村亮らの「決意の会見」で流れが変わり、岡本昭彦・吉本興業社長のグダグダ会見を経て、芸能界屈指のタレント集団である吉本騒動へと発展した。

メディアはこぞって吉本を攻撃するが、この問題には、「反社会的勢力(反社)とは何か」「反社認定は、誰がどう行うべきか」「反社と接触したとき、どう対応すればいいか」といった根源的な問いかけが欠けており、このままでは、いつ誰の身に起きてもおかしくはない。

 

泣き崩れた宮迫や田村、醜態をさらした岡本社長を誰も笑えない。

宮迫は、騒動のきっかけとなった闇営業が、振り込め詐欺グループの忘年会だとは知らなかったという。実際、反社の主体が暴力団からその周辺者や半グレへと移り、当局的な反社認定が行われていないというケースは少なくない。そうした場合、反社の見極めは誰がどうつければいいのか。

〔PHOTO〕gettyimages

そもそも反社とは何か。

1992年の暴力団対策法の施行まで、暴力団の行う興行、港湾荷役、地上げ、証券投資などの事業は、基本的に認められていた。だが、暴対法は組織の名刺を出して交渉するなど暴力団の威圧を禁じ、「正業」は封じられていった。

暴対法は改正を重ね、使用者責任が広域暴力団のトップに及ぶようになり、シノギはますます窮屈になった。それに輪を掛けたのが11年に完全施行された暴排条例である。暴力団構成員だけでなく、密接交際者と認定されれば、銀行口座を持てず、部屋を借りられず、生存権を奪われる。

反社を厳密に規定すれば、暴力団と警察当局に認定された密接交際者ということになる。

ただ、暴排条例上の密接交際者=反社は、まず当局に勧告を受け、従わなければ氏名を公表されるが、その前に「交際を止めます」と、“偽装”するのが通例で、「怪しい奴」だという疑いを持ち、都道府県警の暴力団担当部署に問い合わせても、「反社認定」をしてもらえることはほとんどない。

従って、認定された反社は暴力団構成員ということになるが、これは暴対法以降の27年間で急減、約7万人が1万5600人(18年末)となった。認定されると食えないから当然で、その分、補足できないマフィア化が進み、半グレが増えた。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら