氷河期から未来まで …「湖底の泥」で気候変動の謎を解き明かせ!

「年縞」が地球温暖化の原因を解明する
人類の懸案事項である「地球温暖化」。今後100年で気温が5℃も上がるという予測もありますが、氷河期末期にもよく似た気候変動が起きていました──。

立命館大学の中川毅教授は、そのような過去の類似した気候変動を探す手掛かりである「年縞」を研究しています。「年縞」を使うとなにができるのでしょうか?
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日本の湖の底で見つかった、最高の「ものさし」

地球の気温は、今後100年間に最高で5℃近く上昇するという予測がある。

「これほど急激な温暖化は現実的ではないという人もいますが、荒唐無稽とまでは言えません。およそ1万1700年前、氷河期が終わる時期、グリーンランドではわずか数年の間に5~7℃も気温が急上昇したのです」

そう語るのは、古気候学研究センターのセンター長を務める中川毅だ。

「過去に起こった気候変動を明らかにすることは、未来の気候変動を予測する上で、時に現代気候学以上に有益な知恵を与えてくれる」と中川は言う。だがどうやって太古の気候変動を知るのか?

中川は、それを可能にする強力な「ものさし」を示したことで世界に名を知られる。それが、福井県にある三方五湖の一つ、水月湖の湖底から採掘された「年縞」だ。

水月湖の年縞。白っぽい層と黒っぽい層のセットで1年間の年縞を形成する。
1年間の厚さは0.6 ~0.7mm。
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季節ごとに土砂やプランクトンの死骸などが湖底に積もって層状になり、縞模様をつくる。年縞は、時の流れを形に留めた自然の歴史書のようなものだ。

周囲から流れ込む大きな河川がなく、水深が深く、湖底に生物が生息しない。そうしたいくつかの好条件が重なった水月湖では、堆積物がかき乱されずに積もり続け、極めて精緻な年縞が形づくられた。

水月湖での調査
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中川はこれまでの調査で、95m、約20万年分に相当する堆積物を湖底から採集している。2012年には、この完璧な年縞が、国際的な研究グループによって地質的・歴史的な遺物の年代を決める世界標準「IntCal(イントカル)」に採用された。すなわち、過去の年代を特定する「ものさし」として世界に認められたのだ。