反発と羨望が入りまじる「香港デモ」中国社会の複雑な受け止め方

「奴隷のままでいたい」と願っている?
古畑 康雄 プロフィール

中国人はなぜ香港デモに反対するのか 

香港の人々は中国からの観光客が集まる地区でデモを行い、「同胞」から同情と支持を得ようとしたが、香港人の善意が肯定的に受け止められることはなかった。
大部分の中国人は共産党から長期にわたり洗脳され、「自ら奴隷になろうとする特殊な種族」になってしまった。彼らは自らの自由や人権を手に入れるために対価を払おうとしないどころか、香港人の反抗に同意せず、冷笑、さらには激烈な反対を示すのだ。
彼らの普遍的な反応とは「香港人は他にやることがないのだろう」「自由で飯は食えない」というものだ。

そして余杰氏は、中国のSNSネットで最近話題を呼んだ「香港、この都市に救いはあるのか?」という文章について触れている。香港の大学で学んだという中国本土の学生が書いたとされるこの文章はネットでも読める。

短く要約すれば「多くの香港人は悪いのではなく、愚かなのだ」「香港の若者が受けた教育や専門レベルは中国本土の若者に完全に及ばない」そして「香港の人々がデモをするのは、香港で長年西側の価値観による衝撃を受けてきたため」と香港の若者や今回の運動を否定的に捉えている。

 

この文章に対しては当然のことながら香港だけでなく、中国からも「多くの事実誤認や知識の欠落があり、意図的に中国の反香港感情だけを取り上げた」「デモが起きたそもそもの政治的な原因について触れていない」などから、「(去勢された)宦官が他人の性生活について批判するようなものだ」といった辛辣な批判もあったという。

だが余氏によると、外国のメディアがこの文章を取り上げた際、普段ならば中国のネット規制によりアクセスが難しいフェイスブックに、大量の中国人ネットユーザーからの反論が寄せられたという。

中には「香港は伝染病のように隔離しておけばよい。しょせんは弾丸のような小さなところだ。700万の現代生活の技術を失った廃棄物じゃないか」「大陸に来て香港独立と叫び、民主と自由を要求してみろ。警察を煩わせなくても、大陸の人民の心のこもった鉄拳を受けるだろう」といった罵詈雑言のほか、次のような習近平政権の考え方を代表するような声もあったという。

「国家がよくなれば人民もよくなる。国家が強ければ人民も強くなる。リビアがアラブの春の後にどうなったか? 中国が強くなかったらあのようになっていただろう。中国が安心して生活できる高度に発展した文明社会となったのも強いからだ。中国よりも安定、繁栄し治安もよい国は全世界どこにも存在しない。中国は世界で最も幸福で安全な国だ。」

「(逃亡犯条例について)中国の法治を信じないというのなら、(どうやって)30年に人類最大の経済の奇跡を実現できただろうか。10億人を貧困から富裕へと抜け出すことができただろうか。農業社会からハイテク文明社会へと一気に飛躍できただろうか。中国は戦後の貧困国家から現在では各方面の建設で世界のいかなる国にも負けない国となったのだ。」