海上自衛隊の護衛艦「むらさめ」(Photo by gettyimages)

有志連合対応、米国とイラン「板挟み」の日本を救う妙案があった

浮上する「もうひとつの有志連合」構想

中東のホルムズ海峡を航行する民間船舶の護衛をめぐり、政府は米国主導の有志連合に参加しない形で自衛隊の護衛艦を派遣できないか検討を始めた。その場合、新法を制定せず、自衛隊法の「海上警備行動」にもとづいて護衛艦を派遣する。

日本はいま、米国主導の有志連合に参加しない各国との連携を模索しているが、その中で、イランとの友好関係を維持しつつ米政府の要請にも答える「第3の道」が浮上した。日本同様、米国とイランとの板挟みになっている英国が欧州主導の有志連合への参加を欧州各国に呼びかけており、これに合流する可能性もある。

 

米国もイランも捨てないためには?

トランプ米政権はホルムズ海峡や紅海のバブ・エル・マンデブ海峡などの民間船舶を護衛するため有志連合を結成する方針を示しており、22日に来日したボルトン大統領補佐官(安全保障担当)と河野太郎外相が協議をおこなった。

「自衛隊派遣は考えていない」と明言していた岩屋毅防衛相は23日の記者会見で「先日、申し上げたのは『現時点では』ということ」と「現時点」を強調し、状況次第では派遣に踏み切る可能性を示唆した。

米国の狙いは、有志連合を結成することにより、イランへの圧力を最大限に強めることにある。これにより、中東の緊張を高めるおそれがあるが、日本政府は最大の同盟国である米国の意向を無視するわけにはいかないと判断している。

自衛隊を派遣する場合に重要なのは、イランとの友好関係を壊すことなく、米国の要請にも答える「妙案」が必要であることだ。

米国寄りのパーレビ国王が革命で失脚して以降、イランは米国と対立。トランプ大統領が昨年5月、イラン核合意から離脱したことをきっかけに対立はさらに深まった。

一方、日本は石油輸入などを通じてイランとの友好関係を築き、今年6月には、安倍晋三首相がイランを訪問した。

安倍首相のイラン訪問中、日本の海運会社が所有するタンカーが何者かの攻撃を受けたが、日本政府は「背景を含めて予断を持って答えることは控えたい」(菅義偉官房長官)、「自衛隊を派遣する考えはない」(岩屋防衛相)と慎重な姿勢を示していた。

それが一転して自衛隊派遣に傾いたのは、7月になって米国が有志連合の結成を呼び掛けたためだ。どのような対応が可能か、内閣官房、外務省、防衛省などで検討している。

派遣する場合、適当な根拠法がないことが悩みのタネだ。

安倍政権が制定した安全保障関連法に、民間船舶の護衛を規定した項目はない。ソマリア沖の海賊に対処するために制定された海賊対処法は、その名の通り海賊にしか対処できず、例えば、相手がイラン軍やイラン革命防衛隊といった軍隊であれば対処できないことになる。

新法を制定する場合、臨時国会を招集して議論する必要があり、時間がかかるという難点がある。武器使用基準の緩和が盛り込まれるのは確実とみられ、野党の強い反対も予想される。