林眞須美の長男は児童相談所の一時保護所などでどんな体験をしたのか

和歌山毒物カレー事件「死刑囚の息子」がすべての人に伝えたいこと

侮蔑に中傷、児相での絶望的体験…

「和歌山毒物混入カレー事件」の“犯人”として死刑判決を受けた林眞須美(58歳)。その長男(31歳)が、今夏、『もう逃げない。~いままで黙っていた「家族」のこと~』を上梓した。

同書には、両親の逮捕後に入所した児童養護施設での生活、高校時代に受けた侮蔑、中傷、卒業後の不当な解雇や婚約破棄など、綿々と続く苦難が余すところなく綴られている。なかでも、児童相談所の一時保護所や児童養護施設での経験には目を覆いたくなる。

痛ましい児童虐待のニュースが絶えない昨今、児童相談所の対応が問題視されているが、対応のみならず、一時保護所や児童養護施設の内実にも目を向ける必要がある。

バカにするかのように笑われた

1998年7月25日に発生した「和歌山毒物混入カレー事件」。2ヵ月半後の10月4日早朝、警察は事件現場付近に暮らす林健治、眞須美夫妻を別件逮捕した。

このとき、自室でまだ眠っていた当時小学校5年生の林家の長男は、女性警察官に起こされ、「児童相談所へ連れて行くから、1週間分くらいの着替えを用意しなさい」と命じられた。

ぼくはクローゼットから、遠足やキャンプのときに使うリュックサックを引っ張り出し、適当に服を放り込んだ。そして僕にとっては一日も欠かせない、釣竿とハイパーヨーヨーも突っ込んだ。

すると間髪容れず、女性警察官に「そんなん持っていくな。釣りなんかもう一生でけへんで」と怒られた。

一週間分の服を用意しろと言われたので、一週間経ったら戻ってくるのだと思ったのだが、違うのだろうか?

 

長男は事態が飲み込めないまま、きょうだい(姉2人、妹1人)とともに和歌山市内の児童相談所(以下、児相)へ連れて行かれた。到着すると、マスコミ対策として、道路側の窓がすべてポスターなどで目張りされていた。

長男が男子部屋へ行くと、子どもたちが、「おまえがきたせいで、ポスター貼りをやらされたやないか」と言って、一斉に殴りかかってきたという。