イタリア化できない日本?〜参院選の自民党現状維持は、希望か絶望か

極右極左が連立した国との比較で考える
與那覇 潤 プロフィール

同盟のルーツである北部同盟は、ロンバルディア州など北部の工業地帯を支持基盤として1991年に結党。一時は「独立」すら議論の俎上に上げる強硬な姿勢で、カトリックの信仰に基づく穏健な保守派(キリスト教民主党。日本の自民党に近い包括政党)の支持基盤を奪い台頭しました。

背景にあったのはマフィア問題に象徴される既成の保守勢力の政治腐敗と、中央政府の再分配によって「先進地域の富が吸い上げられ、自助努力の足りない地方に回されている」という不満です。

 

初代の書記長だったボッシの看板政策は地方分権で、左派か右派かあいまいなところがありましたが、現在の指導者サルヴィーニはむしろ反EUを掲げて極右との連携も辞さない姿勢をとり、米国のトランプ政権のような自国第一主義をうたっています。なんとなく、橋下徹さんが代表だったころの維新と、松井一郎さんにその座を譲って以降の対比を思わせますね。

五つ星は逆に、環境保護や下層階級への再分配を唱える左派ポピュリズムの運動として、2009年にコメディアンのベッペ・グリッロらが結成。こちらは誰しも、元俳優で過激な「反原発」を売りものに政界入りした山本太郎さんを連想するところでしょう。

自由競争的な「資本主義の徹底」を説く同盟(≒維新)と、むしろ「反資本主義」の色の濃い五つ星(≒れいわ)とが、「どっちにしろEUの規制は嫌だから」という一点で手を組み、既成の中道政党を放逐してまさかの連立となったわけです。

べッペ・グリッロ〔PHOTO〕Gettyimages

格差の「不可視化」が政権安定のポイント?

仮に維新が勢いを維持し、政党要件を得たれいわが大きな風を起こすとして、次期衆院選で自民・公明を大敗に追いこみ、明治維新と新選組を冠する両党が組む驚天動地の新連立がありえるのか。すくなくとも現状では、いささか想像しがたいのが正直なところでしょう。既成政党への不満は高まりつつも、日本で政治の「イタリア化」が起きそうにない最大の要因は、資本主義のもとで拡大する「格差の可視化」の度合いにあるように思います。

サッカーファンには有名な事件に、1990年イタリアW杯での「マラドーナ発言」があります。アルゼンチンの伝説の選手マラドーナは当時、イタリア南部の都市ナポリのクラブに所属していましたが、準決勝でのイタリア代表との決戦地がナポリとなったため、前日のインタビューで同国北部が南部によせる差別意識に言及。これがイタリアの世論を激昂させ、決勝戦(相手国は西ドイツ)ではブーイングの嵐となったといいます(北村暁夫『ナポリのマラドーナ』 )。

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