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イタリア化できない日本?〜参院選の自民党現状維持は、希望か絶望か

極右極左が連立した国との比較で考える

選挙で「風」は吹いたのか

なんともしっくりこない選挙結果。そう感じた有権者は多いのではないでしょうか。

7月21日に投開票となった第25回参議院選挙で、明白に「勝った」と言えるのは、直前の丸山穂高衆院議員(現在は党を除名)のスキャンダル1にも関わらず議席を積み増した日本維新の会(維新)と、比例区でまさかの当選者を出したNHKから国民を守る党(N国党)くらい。しかし、それぞれ3議席増と1議席獲得ですから、「旋風が吹いた」と形容するには心もとない数字です。

いっぽう「台風の目」として注目され、ネットと街頭を主戦場に選挙運動を展開した、山本太郎参院議員(比例区で落選)のれいわ新選組(れいわ)は、特定枠の2名分ちょうどの当選者を出しました。

各紙の情勢調査では「れいわは1議席獲得の可能性も」との予想が主流だったので、N国党の1議席と合わせて、トータルして比例区で約2.5議席分はマスメディアに見えない「ネットの票」があることを証明しましたが、「新しい田中角栄になる2」・「日本新党の再来かも3」と持ち上げていた向きからすれば、やはり寂しい結果でしょう。

山本太郎氏〔PHOTO〕Gettyimages

自民・公明の与党は選挙前から6議席減にとどめて、手がたく過半数を維持した反面、維新などを足しても改憲の発議に必要な「2/3」には4議席足りず。勝敗を決した1人区の戦績も、前回(2016年)と1議席しか変わらない22勝10敗。

「解釈改憲(安保法制)も消費増税もまぁしかたないが、明文改憲は気乗りがしない」というのが平均的な民意だとすれば、それなりによくできた選挙結果で、現状を穏当に維持するという意味での保守政治は幸か不幸か、いまのところ日本では安泰ということになりそうです。

もっとも、れいわとN国党は政党要件を満たしたため、今後は自民党をはじめとする他党と同様に、テレビや新聞でも「政党」として扱われることになります。政治番組の党首討論にも出席できるし、選挙期間中も街頭演説の様子が流される。ほんとうに風を起こすのは次の衆院選からだ――と、はやくも気をもむ向きもあるようです。

 

「維新とれいわが連立」したイタリア政治

仮に「風が吹く」とどうなるのか。じつは、シミュレーションの素材にうってつけの国があります。2017年に小選挙区制を一部導入した結果、翌2018年3月の総選挙を通じて「極右と極左が連立して中道政権を倒す」という劇的な政変を見せたイタリアです。

極右と書いたのは「同盟」(旧・北部同盟)、極左は「五つ星運動」(五つ星)のことで、両党の党首がそれぞれ副首相となって、首相には有識者(フィレンツェ大の法学教授)を担ぐ異形の政権4となっています。