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世界の学生たちは「パールハーバー」をどう思っているのか?

歴史と記憶をめぐる対話
日本近現代史の権威であるアメリカ・コロンビア大学のキャロル・グラック教授が各国の学生との対話を通じて「歴史」と「記憶」の意味を探っていく。「戦争の記憶」をテーマに据えたこの集中講義から見えてくるものは何か。グラック教授が対話を通じて学生たちに訴えかけるものとは――。

アメリカ学生は「真珠湾」に何を連想するのか

グラック教授 この特別講義のテーマは、別々の場所から集まった多様なバックグラウンドを持つ学生たちと、第二次世界大戦の「歴史」と「記憶」について話し合うことです。この講義は「授業」ではなく、皆さんとの「対話」形式で行います。

今日は「パールハーバー」を題材に、第二次世界大戦の「共通の記憶」について皆さんが考えていることや知っていることと、私が考えていることや知っていることを話していきましょう。

 

まず、この質問から始めたいと思います。「パールハーバー」と聞いて、思い浮かべることは何でしょうか。

(グラック教授の右手の学生から、反時計回りに答えていく)

ユウコ 日本による米軍基地への攻撃。

ニック 奇襲攻撃と、諜報活動の失態。

トニー ベン・アフレック(主演の映画『パール・ハーバー』。2001年公開)。

一同 (笑)

グラック教授 そうですよね、分かります。

トム アメリカが第二次世界大戦に参戦したきっかけ。

ミシェル 多くの犠牲者。

スティーブン 僕も同じように映画を思い浮かべました。

グラック教授 いいですね、そういう答えを知りたいので。あの映画を見に行ったのは彼とあなたと、私くらいのようですし。では、次の方は?

ヒョンスー(仮名) ハワイの日本人コミュニティー。

ユカ 日本の外交上の失態。

ディラン アメリカの英雄主義。

トモコ 日本人として謝らなければならないこと。

インニャン 私も「多くの犠牲者」を思い浮かべます。

スコット 奇襲攻撃、というより「だまし討ち」とよく聞きます。

グラック教授 それはあなたが思っていることですか?

スコット そうです。

グラック教授 分かりました。歴史の教科書がどう書いているかではなくて、あなたが何を連想するかを聞いているので、それで結構です。では、次?

スペンサー アメリカの愛国心。

ジャジャ 観光地化している記念館。

グラック教授 (パールハーバーのUSSアリゾナ記念館に)行ったことがありますか?

ジャジャ はい。

グラック教授 この中で、行ったことがある方はどれくらいいますか?(4人が手を挙げる)。ここまでが最初の質問でした。では、2つ目の質問は、「その印象は、どこから来たのか」です。どこから、「日本による攻撃」という印象を得たのですか。

(再び、同じ順番で学生たちが回答していく)