こんな症状に注意

散歩のあとや、暑い部屋で留守番をさせていたときなど、もしも愛犬の様子がおかしかったら、できる限り体温を測ってみてほしい。

犬の平熱は38℃台と言われており、人間よりも常にあたたかい。興奮すると39℃以上になる犬も中にはいる。しかし、体温が40.5℃を超えている場合は、ただちに冷やした方がいいとされている。

とはいえ、家で犬の体温を測るのは難しいだろう。動物病院では、動物用の先が柔らかい体温計を使用し、専用のカバーをつけて直腸温を測定する。体温計の機能自体は人間用のものと変わらないので、家でもお尻の穴に体温計を入れれば同じように測れるのだが、人間と体温計を共有するのは避けたい人がほとんどだろう。

動物病院ではこのような形で体温を測る Photo by iStock

心配であれば、犬専用の体温計を用意しておくことをおすすめする。犬用に購入してもいいし、使わなくなった人間用を流用してもよいだろう。ただし、水銀の体温計は、測定するのに時間がかかる上、割れると危険なので避けてほしい
そこまでするのが難しければ、普段からマメに体を触り、平常時や興奮時、だいたいどのくらいあたたかいのか知っておくだけでもいい。興奮しただけではこんなに熱くならないな、と不安に感じたら、まず動物病院に連絡してみると良いだろう。

体が熱いだけではなく、ぐったりしていて意識がもうろうとしたり、吐血や下血などがみられたりという場合は、迷わず病院へ向かってほしい。ちなみにそれが動物病院の昼休み時間中であったとしても、午後病院が開くのを待っている余裕はない。すぐに診てくれるところが見つかるまで、病院をあたる必要がある。

家でもできる応急処置

先にも述べた通り、熱中症を疑った場合、命を助けるためには、なるべく早く病院に連れて行くことが大切だ。病院到着が90分以上かかった症例では、救命率が下がったという報告がある(引用2)

では、病院に行くまでの間に、飼い主自身が行うべきことはなんだろうか。それは、人間の熱中症と同様、体を冷やすことだ。

まずは水道水などの常温の水を体にかけ、体温を下げる。そして自宅、あるいは車内のエアコンをつけたり風通しを良くして気温を下げることが先決だ。また、首筋や脇の下など、太い血管が通っている場所に保冷剤を当てても効果がある(引用3)。少々意外だが、やさしく四肢のマッサージを行い、血流を良くするのも効果的だ。

しかし、全身に氷水のような冷たすぎる水をかけたり体を漬け込んだりすると、血管が縮こまり、血の巡りが悪くなってしまって逆効果なので注意してほしい。冷水で冷やしたタオルで体を覆うのも一見有効に感じるが、すぐに体温で水が温まってしまい、タオルが断熱材となってしまうので、今は推奨されていない。

冷却を行う際に気をつけたいのが、冷やしすぎだ。熱中症になっていると、体温調節がうまくできず、急激に下がりすぎてしまうことがある。体温を冷やす目安は39.7〜40℃と言われている。これは犬の普段の体温よりも高いので、普段通りの体温まで下げようとすると下げすぎになってしまう。注意が必要だ。

また、病院に到着した時には、冷却処置を行ったことをきちんと伝えることが重要だ。例えば病院到着時に体温が平熱の範囲内だった場合、冷却処置を行ってその体温まで下がったのか、なにもせずにその体温なのかにより、その後の処置が変わってくるからだ。

愛犬の具合が悪いと、取り乱してしまうのも無理はない。しかし、愛犬のことを一番よくわかっているのは飼い主だ。病院では冷静になって、今までの状況を正確に獣医師に伝えてほしい。