文在寅政権が焦るワケ…輸出規制の打撃「韓国のほうが甚大」な可能性

数字を見れば一目瞭然
高安 雄一 プロフィール

さらに韓国の経済構造も規制強化3品目の国産化を難しくしている。韓国では財閥が莫大な設備投資を他国に先んじて行い、大ロット生産を行うことでDRAMのシェアを獲得した。半導体は、巨額な設備投資、大ロット生産といった規模の経済を活かすことができ、財閥による生産に適した品目である。

しかし規制強化3品目は、きわめて高度な技術の蓄積は必要ではあるものの、巨額な設備投資が必要なわけではなく、世界の大半のシェアを占めたとしても売上高は知れている。もしも自前で製造できるようになったとしても費用対効果が著しく悪い。

これら品目の生産には財閥の強みを活かせず、むしろ、小回りがきく企業による生産が適している。日本ではこのような企業が長年地道に技術を蓄積して、着実に世界のシェアを確保してきた。

 

韓国の財閥は、グローバルサプライチェーンをうまく利用して、最適な中間財を全世界から調達することで利益をあげてきた。もしも、韓国の財閥が中間財の多くを自ら生産するようになれば、競争力を失うリスクが高い。

韓国企業が日本から調達している中間材は、規制強化3品目だけでなくきわめて多くの品目がある。これをすべて韓国が自前で作るとなれば、財閥は費用対効果で全く割に合わない投資を大規模に行わざるをえず現実的ではない。

今後、日本による韓国に対する輸出規制強化の流れは、元徴用工問題など様々な懸案に解決の動きが見えない限り、強まっても弱まることは考えられない。しかし、現在の状況では懸案の解決に向けて動き出す可能性は低いといわざるをえない。

今回の輸出規制強化の影響は日韓で非対称であり、韓国経済にダメージを与える可能性が大きいだけに、実際に韓国の景気後退が深刻化してしまえば、日韓関係がさらにこじれることは容易に想像できる。これまでは政治的に対立しても経済に波及することはなかっただけに、日韓関係は新しい局面に入ってしまったようにも見える。