文在寅政権が焦るワケ…輸出規制の打撃「韓国のほうが甚大」な可能性

数字を見れば一目瞭然
高安 雄一 プロフィール

日本への影響はごくわずか

一方で日本経済には影響はあるのだろうか。影響を短期的および中・長期的に考えてみよう。短期的な影響としては、規制強化3品目の輸出減が考えられる。

しかし、2019年1~5月までの3品目の韓国向け輸出額は、全体で1億4000万ドル程度であり、同時期の日本の輸出総額の0.05%に過ぎない。これが大幅に減少したからといって日本経済が受ける影響はないと考えてよい。

韓国産の半導体の供給が減りこれを使って最終品を製造する日本のメーカーが打撃を受ける可能性も指摘される。しかしこの影響もそれほど深刻ではない。

半導体の中で韓国のシェアが高いものは、コンピューターの一時的なメモリーとして使われるDRAM、スマートフォンなどの記憶媒体として使われるNAND型フラッシュメモリーである。なかでもDRAMは韓国企業のシェアが7割前後と高い。

ただし2019年の上半期の日本の状況を見ると、DRAMは台湾からの輸入が59%を占めており、韓国のシェアは21%とそれほど高くないフラッシュメモリーの輸入は、台湾からが29%、韓国からが25%である。もっともフラッシュメモリーは日本企業も一定のシェアを占め、総供給といった観点からは韓国のシェアは上記の数字より落ちる。

さらに、世界的に半導体需要はそれほど好調ではなく、韓国の半導体生産が減少したからといって、ただちに供給不足に陥るわけではないと考えられる。

 

韓国は経済構造上「中間財」を生産しづらい

中長期的にはどうだろうか。韓国政府は半導体の中間財の国産化を図るため、毎年1兆ウォンの投資を行うとした。

過去の事例と比較してみよう。韓国が日本のシェアを奪った品目で思い浮かぶものとしてDRAMがある。1980年代中盤、DRAMは日本のお家芸であった。しかし今では日本企業はDRAMから撤退してしまい、韓国のシェアが7割を超えている。

韓国が本格的生産を始めたら、規制強化3品目についても韓国製品に代替されてしまうのではないかと懸念する見解も聞かれる。しかし、これら3品目について、韓国製品が日本製品に代替する事態はほとんど考えられない。

規制強化3品目は、純度を高めるためのノウハウが長年蓄積されたものであり、莫大な研究開発費を投じたからといって、短期間のうちに韓国で同品質のものが製造できるようにならない。また製造装置を入れたからといって作れるものでもない。