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文在寅政権が焦るワケ…輸出規制の打撃「韓国のほうが甚大」な可能性

数字を見れば一目瞭然

韓国の輸出のうち21%が半導体

7月4日から半導体の生産に欠かせないレジストや高純度フッ化水素、そしてフッ化ポリイミドの3品目(以下では「規制強化3品目」とする)について韓国向けの輸出規制強化が始まった。また今後、韓国が安全保障貿易管理における「ホワイト国」から除外される予定であることも公表されている。

これに対して韓国の文在寅大統領は、日本の措置は、韓国経済より日本経済に大きな影響を与えると発言した。日本のマスコミでも日本の影響を懸念する論調も見られる。しかし筆者は日本の措置は、韓国経済へダメージを与えることはあっても、日本経済にはほとんど影響はないと見ている。

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以下では特に影響を受ける可能性が高い半導体に絞り影響を考えてみよう。

韓国は半導体の製造に欠かせないレジストの9割以上、フッ化水素の4割以上を日本からの輸入に依存しており、韓国で製造されている高品質の半導体の製造工程では、日本産の高品質な中間財が不可欠である。よってこれら品目の調達が不確実になることは、韓国の半導体産業には大きな打撃となる。

2017年の数字ではあるが、三星電子の半導体部門だけで稼ぎ出した営業利益は、韓国の企業部門全体の営業利益の15%にも達する。また2018年において半導体輸出は輸出全体の21%を占めている。

 

近年は、自動車など他の産業が振るわないなかで、半導体は孤軍奮闘して韓国の経済を支えてきた。昨年から世界の需要が一服するなかで、韓国の半導体も一時期の勢いを失っているが、それでも韓国経済を支えていることには変わりがない。

輸出規制強化の影響は現在のところ韓国の実体経済にはあらわれていない。契約ごとに審査するようにしただけで輸出を禁止したわけではないので、生産する日本企業の輸出許可が下りれば日本からの調達も可能である。

しかし結果的に輸出許可が下りたとしても、生産に必要不可欠な中間財の調達が不確実となれば、韓国の半導体メーカーも長期的な生産計画を立てにくくなる。

韓国の景気は昨年の秋頃から減速している。これは、米中貿易摩擦により中国経済が減速しているためであり、中国への輸出依存度が高い韓国に悪影響が及んでいる。もしも韓国経済の一本柱である半導体の生産が落ち込めば、景気の後退はより深刻になるだろう。