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民家で行われた腎臓移植手術の後、夫は再び腎臓を取り出された

臓器移植の闇を追って・その2
高橋 幸春

ベッドの上に横になった。手術用の強いライトが天井から照らされていた。山川さんの記憶はここまでで、気がつくとゲストハウスのベッドの上に寝ていた。

〈おめでとうございます! 手術は無事成功との事でございます。どうぞご安心ください。後程ビデオを送らせていただきます。〉

良枝さんのラインに、Nから連絡が入った。

 

悪化の一途

しかし、その5時間後。

〈御主人の尿の出が余り良くないと言う事です。今夜再度状態を確認する為手術するとの事でございます。御心配だと思いますが、状況が入りましたら再度ご連絡させて頂きます。〉

しかし、この手術は見送られ、しばらく様子を見ることになった。

その夜、山川さんは透析を受けている。

手術2日目、2月7日、Nから連絡が入った。

〈奥様 良い情報です。御主人の尿が徐々に出始めているとの事です。〉

その一方で、〈御主人の状態ですが、お元気で腎機能は全て良い検査結果なのですが、尿量が少ない状態が続いているようで医師も少し心配しているようです。〉とも良枝さんに伝えてきた。

「Nは夫の様子を写真や動画で送ってきたので、現地に行っているとばかり思っていました」

しかし、Nは日本に帰国していた。山川さんは通訳もなく、たったひとりで移植手術を受けていたのだ。

山川さんの予後は悪化の一途をたどっていた。日本側では山川さんの帰国のフライトを予約していた。移植手術からわずか6日後の、12日の予定が15日に変更された。

意識不明の重体になりICUへ

13日、予想もしていなかった連絡が入った。

〈今現地から連絡があって御主人の腎臓は残念ながら摘出されたとのことです。理由は拒絶反応の様です。〉

〈信じられません。何故、こんな事になるのでしょうか? 拒絶反応を無くす為の海外移植ではないのですか? 手術ミスではないのですか?〉

〈尿量が増えて行かず、最終的に摘出するしかなかった様です。腎移植の場合、どうしても相性が合わない場合があります。今回一旦帰国して、3ヵ月以降再度新しい臓器の移植が出来るそうです。〉

良枝さんを安心させようとしたのか、非難を免れようとしたのか、Nは再移植を提案している。15日のフライトが18日に変更された。しかし、山川さんはとても飛行機に搭乗できるような状態ではなかった。

14日夜。

〈今看護師から連絡が有り、透析中に血圧が上がって透析を停止し、ICUに入ったそうです。〉

山川さんは意識不明の重体に陥った。

Nがイスラマバードに入ったのは16日だった。

山川さんの現状が、写真や動画で頻繁に送られてくるようになった。

「Nは夫が回復傾向にあるように言ってきましたが、とても信じることはできませんでした。両脇をパキスタン人に支えられながら歩いている動画を送ってきましたが、無理やり歩かされているようでした。

電話で話している時に、夫の今の姿を出してくれと頼むと、話とはまったく違ってぐったりしていました。夫に電話がつながり話をしていると、泣き出してしまい、助けてくれと訴えてくるような状態でした」