今、アメリカで大きく盛り上がる「Woke Capitalism」とは何か

「平等」を求める人々と企業の動き
池田 純一 プロフィール

「2大会連続優勝」のもつ重要性

実際、“Equal Pay”の問題は決勝戦の意味合いをも、いつの間にか変えていた。少なくともラピーノにとっては、FIFAやUSSFを牛耳るトップやトランプの鼻をあかすことにあった。連続優勝という実績があればこそ、彼女たちの“Equal Pay”の活動は大きな意味を持つことができる。

逆に、準優勝で終わっては、彼女たちの主張を取り上げるメディアや賛同者の数も減ってしまう。今はまだ逆風のなかにあるにもかかわらず支援してくれる人びとの数を減らしてしまう。ましてや、集団の意思決定のプロセスが必要な大企業において、「優勝」という実績のもつ効果は大きい。

 

そのあたりの「2大会連続優勝」のもつ重要さを、他でもないラピーノ自身がよくわかっていた。自分たちの力でなんとかできる数少ない機会が、大会で勝ち続けること、そして優勝することだった。

勝ち続けることで人びとの関心を、つまりはメディアの関心を保ち続け、「2大会連続優勝」という偉業を成し遂げることで、人びとにも自分たちの主張に賛同し、さらには賛同者自身が周りに働きかける強い動機となる。戦いのフィールドはここにもあった。何よりも彼女たちは、自分たちの存在証明のために試合を戦い抜いていったのである。

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トランプとの接触を避けたのも、もちろん、自分たちの主張や立場、存在と、彼の言動が真っ向対立するから、ということがあるが、それだけでなく、トランプによって、自分たちの主張や行動が、捻じ曲げて伝えられ、取り返しがつかないほどの曲解を人びとの間にもたらすものと考えてのことだったと思える。それくらいトランプがメディアコントロールの天才であることを理解し、警戒している。

大事なことは、彼を迂回することにある。トランプが大統領であろうとなかろうと、ワールドカップは続くし、女性アスリートの活躍の場も存在し続けるからだ。