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ついにベントレーも参入!「高級EV車」が社会的ステータスになる日

“高級車らしさ”とは何か
御堀 直嗣 プロフィール

そうした傾向は、英国・ジャガーがEVのSUVである「I-PACE(アイ・ペース)」を発売すると、初年となる2019年分を国内ですでに受注してしまう状況にも表れている。さらにジャガーは、最上級の4ドアセダンである「XJ」をエンジン車からEVへ転換すると表明した。ちなみに、ホールマーク社長の前職は、このジャガーだった。

ほかに、ドイツのスポーツカーメーカーであるポルシェは、EVの「タイカン」を今年発売し、日本へも来年から納車がはじまる予定だ。エンジン車のポルシェ既納客からは、「タイカン」を注文したいという声がすでに出ている。

これらの流れから鑑みるに、富裕層の間でEVを所有することが1つの社会的地位の証となりつつあると言えるだろう。

 

今さら「エンジンにこだわる」のは奇異

技術面でも、モーターがそれまでのエンジンをはるかに上回る性能を容易に出せてしまえることが、高級車やスポーツカーがEV化する背景の1つと言える。

モーターは、電気が流れはじめたところから最大の力を瞬時に発揮できる特性を持つ。したがって、不用意にアクセルペダルを踏み込めば、勢いよく飛び出してしまうほどだ。現実的にはそこをコンピュータ制御で適切にすることが行われるが、いずれにしてもそれがモーターの特性である。

一方でエンジンは、回転が高くなっていかないと大きな力を出せない性格である。したがって、「変速機」という機構が不可欠で、ローギアから順次変速していかなければ速度を上げられない。これまでスポーツカーはそのようにして鋭い加速と、高い最高速度を実現してきたが、モーターであれば変速機なしでエンジンと同様の加速を実現できてしまう。肩透かしされるような話だ。

上質さという高級車に不可欠な性能も、モーターであれば騒音も振動もなく、おのずと備わる。たとえば、三菱自動車のEV軽自動車「i‐MiEV(アイ・ミーブ)」(現在は登録車扱い)は、エンジン車の軽自動車に比べると格段に上質な走りをし、小さな高級車と思うほどだ。重いリチウムイオンバッテリーを搭載することで、その重さが重厚さを生み、静かさだけでなく高級さを覚えさせる。

三菱自動車「i-MiEV」/Photo by gettyimages

以上のように、EVは、そもそも高級であり、またスポーツカーのような走行性能を、苦労することなく実現してしまう潜在能力を持つ。ベントレーが、EVに関心を寄せるのはいわば当然であり、エンジンにこだわるロールス・ロイスのほうが奇異に感じられるほどだ。