離婚すべてに言えることだが、こと子どものいる離婚となると、お金は大きな問題になる。養育費が払われず、離婚して貧困になってしまったシングルマザーが後を絶たないのだ。しかし、親は離婚しても親のはず。それぞれが前に向いて歩けるような離婚はできないものだろうか。

ライターの上條まゆみさんは、離婚について長く取材を続けてきた。今回はアルバイトをしながらでも養育費を払い続けた男性についてご紹介する。

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なぜ6人も子どもが?

バツ2で、10年前に3度目の結婚をした石川透さん(仮名・61歳)は、大手企業勤務の会社員。6人の子どもがいる。現在の妻との間に子どもはいないから、その6人は元妻とそれ以外との間にできた子どもだ。

何やら複雑な大人の事情はともかく、透さんがすごいのは、いくら大手企業とはいえ、サラリーマンの身でありながら、子どもたちの養育費を23年間欠かさず払い続けてきたことだ。最高時では月40万円払ったこともある。父親なのだからあたりまえには違いないが、厚生労働省の2018年度調査報告によると、実際には養育費を払っている男性は20%程度に過ぎない

5人中4人もの男性が「養育費なんか知らねえよ」とバックレる現実があるなか、透さんは誠実に子どもへの責任を果たしてきた。

結婚、離婚を繰り返し、婚外子を含めて子どもが6人! これだけ聞くと、とんでもない男のようだが、そのライフストーリーには透さんなりの筋の通し方が見える。

自分を好きになってくれる女性への感謝が

「いまはすっかり丈夫でご覧のとおりガタイもいいですが、子どものころは体が弱くて、大人になるまで生きられないと思っていたんです。だからでしょうか、こんな俺を好きになってくれて、子どもを産もうとしてくれる女性に対する感謝の念がすごくある。求められたら何としてでも応えたいと思ってしまう」

1度目の結婚は、24歳のとき。学生時代から付き合っていた大好きな彼女で、子どもができたことをきっかけに結婚した。

「美人なのに、謙虚で優しい人でした。相性もよくて、不満なんか全然なかった」

それなのに、仕事で出会ったある女性から、思いを打ち明けられて応えてしまった。子どもは1歳になったばかりだった。

「才能ある女性で、とても尊敬していました。『あなたのことを好きになってしまった』と言われ、『離婚は絶対しないけど』と言ったら、『それでもいい』と言うので……」

その女性との間にも子どもができ、認知をした。妻は、透さんの浮気に気づいたようだったが、何も言わなかった。透さんも妻に対する愛情は変わらなかった。それで、妻とその女性のどちらとも、うまくやっていこうとした。

家庭はそのまま。女性との仲もそのまま。2つの家庭を行き来する暮らしが始まった。そのうち、妻との間にも、女性との間にも2人目の子どもができた。これで子どもは4人になった。

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