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家電業界、ツインバード工業ばかりが「ヒット連発」できる意外な理由

「現場が勝手に動き出す組織」の秘密

いま人々の心をつかむもの

『ロイヤルホスト』などを展開する株式会社ロイヤルの社長・黒須康宏氏の話を聞いた時、筆者は驚くべき事実を耳にした。

「24時間営業をやめるなど営業時間を見直すと、既存店の売り上げが伸びたんです」

理屈は単純だ。若者の数が減り、アルバイトが不足する現在、店舗は疲弊しがちになる。しかも夜中は、酔客などもおり、なかには心ないクレームもあっただろう。そこで従業員の負担を減らすと、社員や店員の労働満足度、組織へのロイヤリティーが高まり、それが顧客対応の向上に結びついたのだ。

『マッハバイト』『転職会議』などの求人サイトを運営するリブセンスの村上太一社長もこう話す。

「現在は社会課題解決型の企業など、誇りを持って働ける職場に人が集まる傾向があり、今後、その傾向はさらに加速していくでしょう」

 

マズローの「五段階欲求説」をご存じだろうか。

1段階目が「生理的欲求」、これが満たされると人は2段階目の「安全欲求」を望み、これも満たされると人は、社会、家族などに帰属したいと願う、3段階目「社会的欲求」を持つ。そして、昭和から平成にかけての日本社会は、こうした欲求を満たす人々が増加していく過程でもあったといえる。

しかし4段階目、人に認められたいと願う「承認欲求」や、5段階目の「自己実現の欲求」は、簡単には満たされない。そこで現在の求職者は、これを満たすため、「共感できる企業」に応募をするというわけだ。

そうした自己実現を手伝う形で求人に成功している企業はすでに出てきている。たとえば「波乗りオフィスへようこそ」という映画のモデルになったITセキュリティ企業、サイファー・テックだ。

同社は本社を東京に構えていた時期、企業から仕事を依頼されても請け負えないほどの人材難に苦しんでいた。そこで吉田基晴社長は意を決して、故郷・徳島県美波町にサテライトオフィスを構え求職者に「昼休みにサーフィンが楽しめますよ」と訴えた。すると、何と応募数が10倍以上を記録し、社員数は約4倍にまで増え、ついには本社も美波町に移してしまった。当然、売り上げも激増した。

筆者はこれを「共感経営」と名付けたい。

いま家電業界で躍進している、新潟に本拠を置くツインバード工業はそんな共感経営で大成功している好例だ。