――時代によっても変わっていく、と。

山崎:差別についても、「私は容姿差別を受けたから嫌だった」という話をこの本では書きましたが、それを徹底してゼロにしたいわけではないんです。

作家の役割としては、面白い文章を書いて、最後までページをめくらせれば成功だと思っているので。政治家とか活動家じゃないから、差別をゼロにすることが目標ではなくて、いまの時代に出る表現を出していこうというのが私の仕事だな、と。

「差別ってものがある世界で生きている」ということは変わらないから、「無い」っていうていで文章を書く必要はないというか。

今回は「ブス」というテーマで容姿差別について書いたけど、私の中にもきっと差別意識というのがあって、ほかの人に対し、全く差別せずに見ることはなかなかできない。時代とともに培ってきちゃった先入観や価値観があって、それを押し付けながら人に接してきちゃっている。

差別を完全に無くせば良いのか、というと、そうではないと思うので、「できるだけ人を傷つけない方がいいけど、でも多分ゼロにはできないんだな」って自覚が必要な気がします。

「ブス」を男性だけのものにはしたくない

――本書はウェブでの連載を一冊の書籍にまとめたものですが、連載時から多くの反響があったのではないでしょうか?

(『ブスの自信の持ち方』編集・樋口さん):この本のタイトルづけに関しては、出版社の営業側から反応がありました。

山崎:確かに、タイトルに「ブス」という言葉が入れると誤読される可能性が生まれますよね。「ブス」という言葉の使用は、「男性に迎合している」と捉えられる危険があります。男性から「ブス」と判断されることについて、女性がそれを受け入れている、という。

けど私は「ブス」という言葉をあえて使いたかったんですよね。「ブス」を男性のものだけにはしたくなかった。

「悪口を言う人は自由に言ってるのに、言われて嫌だった人は『ブス』って単語を使っちゃいけないの?」というか。私らしい語彙として使いたかった。