「ブス」とは何か? なぜ容姿を気にする側が気を遣ったり変わらなければいけないのか? そんな社会はどう歪んでいるのか? 新刊『ブスの自信の持ち方』を上梓した作家の山崎ナオコーラさんにインタビュー。なぜ今、「ブス」なのか――。

(取材・文:小野美由紀、写真:林直幸)

「ブス」は気の持ちよう? 被害者側が変わらなきゃいけない事への違和感

――山崎さんはこれまでエッセイなどで、容姿が誹謗中傷に使われることへの抵抗感や「ブス」という言葉の使われ方に対する違和感を発信してこられました。

山崎:私は15年前にデビューしたのですが、その際に新聞に掲載された写真がネット上に無断転載されて広まっていきました。

その頃はまだネットリテラシーが浸透しておらず、個人ブログや匿名掲示板などで、容姿に関する悪口をたくさん書かれたんです。

かなりすごかったんですよ。作者名で検索すると1ページ目の結果には、Wikipedia以外、全部「ブス」って書かれていたし、デビュー作が『人のセックスを笑うな』というタイトルだったのもあって、それと関連づけられた、グロい、性的な誹謗中傷ばかりでした。

――本来は関係ないものであるはずなのに、容姿と作品の内容が紐付けられる状態はつらいですね。

山崎:今も、みんなネットで一所懸命販促活動をすると思うのですが、私の場合は、ただ容姿と、性的な愚弄ばかりが出てきて。作品のことを純粋に書いているページが検索しても出てこなくて「これじゃ本が売れない!どれだけ書いても意味がない」という絶望的な気持ちになりました。

作家の容姿なんて気にしていない普通の読者もいると思うのですが、検索すると「ああ、そういう人なんだな」というイメージがついてしまう。すごく迷惑でした。

周りの親しい人にそのことを相談すると「自分のこと、ブスなんて言っちゃダメだよ」と、「ブスという言葉を使うこと自体が良くない」という反応をもらうことが多かったんです。