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25支店を統廃合…野村證券で始まるリアル「集団左遷」

バブルエリートの今後はどうなるのか

転職も厳しい状況

「新宿の野村ビル支店といえば、顧客数も取引額も段違いの『伝説の支店』でした。

全国の優秀な若手をここに集めていきなり数億円単位の取引をさせる、登竜門的な支店でもあったのですが、まさか新宿の別の支店に統合されるなんて……」(野村證券OB)

野村證券の25支店を廃止し、近隣の店舗と統合させる「再生改革」が8月上旬から始まる。

東京では中野や田園調布、大阪では岸和田や千里など、大都市圏で「不採算」と判断された支店が中心だが、冒頭の新宿野村ビル支店のように、バブル期の繁栄の象徴ともいえる店舗も対象となった。

 

'19年3月期に赤字転落した野村證券の危機感は強い。金融コンサルタントの高橋克英氏はこう言う。

「ネット証券の台頭により、自慢の個人営業も通用しなくなってきた市況からすれば、店舗の大規模閉鎖は当然の結果です。今後、野村の営業部門はターゲットを富裕層に絞り、プライベートバンクのようなビジネスに特化していくとみられます」

目下、廃止が決まった支店の野村社員は「集団左遷」の憂き目に遭っている。野村證券現役社員が語る。

「個人営業畑一筋の社員が、いきなり海外為替部門や間接部門に異動になり、『社内失職』状態に陥った人もいると聞きます。

よほどの取引額がある顧客を抱えていないかぎり、統廃合後も店舗営業に残り続けるのは難しいです。エリート社員を求め、ヘッドハンティング会社がすでに動き始めているという話もあります。

いま損保ジャパンが介護分野への大量転籍を進めて話題になっていますが、野村には金融以外の事業への転籍先がない。だから、仕事ができないと見なされれば即リストラなのではないか、と不安に感じる社員は多い」

ヘッドハンティングの声がかかればいいが、リストラ後の再就職は厳しい戦いを強いられる。

「元社員の投資詐欺や女性への暴行など不祥事が続き、野村のイメージが落ちていて、他社の面談に行っても歓迎されないこともある」(社員)

行き場のない「集団左遷」、バブルエリートの今後はどうなるのか。

「週刊現代」2019年7月13日・20日合併号より