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君原健二、宗茂、青木まゆみ…あのオリンピック選手は今、何してる?

選手たちの「その後」を追う

4年に一度の「スポーツの祭典」は、これまで数多のスターを生み出してきた。彼らは、いまも元気にしているのだろうか。東京オリンピックをいよいよ1年後に控えたいま、選手たちの「その後」を追う。

経営は五輪より大変

最近でこそ、吉田沙保里や伊調馨など女子選手の活躍に注目が集まりがちなレスリングだが、'60~'70年代には男子も金メダルを連発した栄光の時代があった。

その筆頭格といえば上武(現姓・小幡)洋次郎(76歳)だろう。'64年の東京、'68年のメキシコと、2大会連続でフリースタイル57kg級で金メダルを獲得し、一躍スターとなった上武だが、'76年にモントリオールで監督を務めて以降は、長らくレスリングの世界から離れていた。

「妻の実家に婿入りし、義父が経営していた『ニューミヤコホテル』(群馬県館林市)の舵取りを任されたんです。

もともと二つのことを同時にはできない性格なので、レスリング指導者の道からはスパッと退き、ホテル経営に専念しました。金メダルも故郷の邑楽町に寄付してしまったくらいです」

 

経営には、金メダルを狙うのとはまた違った難しさがあった。

「レスリングは、敵に勝つことだけに集中して計画的に練習や体づくりに取り組めば、どんどん強くなれました。

でも、商売は自分ひとりが頑張ればうまくいくわけではない。お客さんが何を求めているのかを考え抜き、満足してもらって初めて結果につながる。おカネを払ってもらうというのはこんなにも大変なことなのかと思いましたよ」

上武がふたたびレスリングに戻ってきたのは10年ほど前のこと。経営の一切を息子に譲って時間ができたところに、母校である館林高校からOB会の会長に就任してほしいとの依頼が届いた。

「会長になって、レスリング部の練習を何の気なしに覗くようになったんですが、気づいたらいつの間にかコーチとして指導にあたるようになりました(笑)。

目標は母校を日本一に導くこと。いまは、ふたたびレスリングに全力投球です。すごく楽しいですよ」

レスリング大国ニッポンの復活に闘志を燃やしているかつての名選手は、上武だけではない。

'72年のミュンヘン大会で金メダルを獲得した加藤喜代美(フリースタイル52kg級・71歳)や柳田英明(フリースタイル57kg級・72歳)も、現在それぞれ故郷の北海道旭川市、秋田県・八郎潟町で子どもたちにレスリングを教えている。