2019.07.28
# AI # 関数

「教えてやる、戦争をなくすのは簡単だ」話題の漫画が試みていること

『アルキメデスの大戦』原作もすごい!
河合 莞爾 プロフィール

上司はAIに限る

 あらゆる仕事がAIに奪われるようになる、そんな予測がマスコミを賑わせています。確かに社員が全てAIなら人件費はタダ、保険も組合も不要です。早くそうなってほしいと願う管理職や経営者の方もおられるかもしれません。
 でも実際は、AIに取って代わられるのは労働者ではなく、管理職や経営者、それに政治家かもしれませんよ? 過去の膨大な記録から未来を予測し、瞬時に最善の判断を下す、それこそがAIの最も得意とする作業なのですから。

これは私が、拙作『ジャンヌ Jeanne, the Bystander』(祥伝社)を紹介して下さった企業広報誌に書いた文章だ。

『ジャンヌ』とは、人工知能=AIを持つ女性型ロボットが殺人を行う物語で、その広報誌の読者が経営者や管理職の方だとうかがったこともあり、ちょっと驚かそうと思ってこんなことを書いてみた。

とは言え、これは噓でもハッタリでもなく、紛れもない事実である。AIが最も向いているのは「組織のリーダー」だ。

robotPhoto by Getty Images

AI(Artificial Intelligence)とは何か? 実はAIの定義は、研究者や技術者によってバラバラだ。とは言え、概念としては「人間に似た思考をする人工物」であり、機能としては「ビッグデータをもとに自ら学習し、推論し、最適解を導き出すプログラム」であることは間違いないだろう。

そしてこれが、AIが組織のリーダーに向いている理由だ。「ビッグデータをもとに自ら学習し、推論し、最適解を導き出す」ことこそ、まさに彼らに求められる仕事だからだ。

たとえば、あなたがある会社の営業部員だとしよう。あなたは朝から外回りに出て、顧客や取引先を訪ねて注文を取り、アフターサービスを行って信頼関係を築き、時には飛び込みで新規開拓を行い、同時に若い部下を指導したり、飲みに連れて行ったりするのが仕事だ。

一方、管理職であるあなたの上司の仕事はどうか。毎日机で販売戦略を考え、会議に出て上役や他部署と情報を交換し、ノルマの達成状況を部下に告げ、部署の成績を伸ばすために過去の経験から対策を練り、人員の異動や配置変えを考えたりすることだ。

どちらの仕事がAIに向いているだろうか? 明らかに管理職だ。
(※これは「労働者と管理職、どちらがAIに置き換わるか?」という未来予測ではない。あくまでも、どちらの仕事がAIに向いているかという話だ)

中には「人間がAIに使われるのはイヤだなあ」という方もいるだろう。だが、よく考えてほしい。AIの上司は人間の上司よりも、あなたに対してはるかにフェアだ。

AI上司は、自分のミスをあなたに押し付けることはしない。おべっかを使う部下ばかりを可愛がり、不器用なあなたを冷遇することもない。あなたの手柄を取り上げることもないし、パワハラやセクハラであなたを苦しめることもない──。

さて、人間の上司とAI上司、あなたはどっちのもとが働きやすいだろうか?

もっと言えば、あなたの会社の社長はどうだろうか? 社長こそ「ビッグデータをもとに自ら学習し、推論し、最適解を導き出す」ことが仕事なのではないだろうか? 

もしかすると組織というのは、上の役職に行けばいくほど、AIに向いた仕事になるのではないだろうか?

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