宮迫・亮が大暴露した吉本とテレビ局の「危うい関係」その来歴を探る

どんな「相互依存」があるのか
加谷 珪一 プロフィール

テレビ局との資本関係が緊密になったワケ

吉本興業は、2009年にクオンタム・エンターテイメント株式会社によるTOB(株式の公開買い付け)によって上場廃止となった。一見するとクオンタム社による乗っ取りだが、同社はソニーの出井伸之元会長が代表となった企業で、吉本の非上場化を目的に設立されたものである。同社にはフジ・メディア・ホールディングス、日本テレビ放送網、TBSテレビ、テレビ朝日、テレビ東京などの地上波各局に加え、電通や博報堂といった広告代理店も出資している。

最終的に買収を完了したクオンタム社が吉本興業と合併する形で両社は一体化しているので、このスキームは買収というよりも、クオンタム社を活用した既存株主の整理が目的と考えられる。実際、当時の吉本興業では創業家とのトラブルが発生しており、既存株式との関係を整理したいという意向が強くあった。一旦上場した企業を非上場にするには巨額の資金が必要となるため、テレビ局や広告代理店に出資を仰いだという図式である。

テレビ局にしてみれば、組織が肥大化し、芸能界に絶大な影響を行使するようになった吉本に資本参加すれば、タレントや芸人の出演交渉がやりやすくなる。資金を必要とするタイミングで「貸し」を作れることは渡りに船だったに違いない。

だが、テレビ局が芸能事務所との資本関係を強化することには一長一短がある。

テレビ局は番組というコンテンツを制作して配信することがビジネスであり、彼等にとってタレントや芸人というのは一般企業における一種の「仕入れ」に相当する。競争原理で考えれば、常に質の高い仕入れ先を開拓するのがビジネスの鉄則であり、仕入れ先は常に精査と入れ換えが必要である。

 

仕入れ先の企業と資本関係を持つことは自体は悪くないが、あまり関係が緊密になりすぎると、そこからの仕入れを優先するようになってしまい、最終的な製品(テレビ局の場合にはコンテンツ)のクオリティに影響するようになる。近年は芸能人の子弟を自社に入社させる局もあり、これも同じ効果を狙ったものと考えられるが、やり過ぎてしまうと、出演者に偏りが出ることで自社のコンテンツ制作能力が低下する。

近年、テレビがつまらなくなったという評判をよく耳にするが、事務所や芸能人との関係が変化したことも影響しているかもしれない。