宮迫・亮が大暴露した吉本とテレビ局の「危うい関係」その来歴を探る

どんな「相互依存」があるのか
加谷 珪一 プロフィール

芸能界にこうした商習慣があったことから、事務所を経由しない仕事について、すべて(悪いニュアンスがある)「闇営業」と表現することには違和感を覚える業界関係者が多い。

つまり会社を通さずに仕事をすることと、反社会勢力からお金を受け取ることは別問題であり、事務所を経由しない仕事をすべて「悪」とするのは、実態に合わないという考え方である(会社を通さず、かつリスクの高い団体などから仕事を受けることを闇営業と称するようになったのかもしれない)。

 

いまだに契約書も結んでいない

闇営業というのは、誰が言い出したのかはっきりしていないが、少なくとも昭和の時代には存在していなかったキーワードである。では、なぜ最近になって事務所を経由しない仕事のことを闇営業と呼ぶようになったのだろうか。それは、遅ればせながら日本の芸能界も近代化が進んだことに加え、良くも悪くも、芸能人がサラリーマン化してきた影響が大きいと考えられる。

かつてタレントや芸人は、下積みを経験する中で、業界関係者から才能を発掘される形で世に出るパターンが多かった。だが、最近では芸能事務所が学校を設立し、システマティックに芸能人を養成するようになっている。吉本興業はまさにその先駆けとなった企業のひとつといってよい。

もし芸能事務所が近代的なエンタテイメント企業だということであれば、タレントの危機管理も事務所の責任であり、どのような企業や団体から仕事を受けるのかについても事務所がコントロールする必要がある。トラブルがあった場合の責任の所在についても、あらかじめ契約で明文化しておく必要があるだろう。そのような雰囲気が業界に醸成されつつあったからこそ「直営業」ではなく「闇営業」と呼ぶ関係者が増えてきたものと思われる。

だが、会見で田村氏が「僕たちの会社というのは何かサインをするわけでもないので」と発言したことからも分かるように、同社はタレントや芸人と基本的に契約書を交わしていない。口頭でも契約は成立するものの、こうした状況では、とても近代的な経営とは言えないだろう。

吉本興業は芸能事務所として初めて株式を上場したが、2009年には上場廃止に踏み切っている。上場企業に対するコンプライアンス上の制約は年々、厳しくなっており、こうした環境において旧態依然とした商習慣を残す同社は経営がやりにくくなっていたと考えられる。

実は上場廃止のタイミングで、地上波のテレビ各局が吉本に追加で資本参加しており、テレビ局との関係がさらに緊密になった可能性が高い。今の芸能界においてテレビ出演は最大の収益源だが、テレビ局と芸能事務所が資本関係を持つことは双方に微妙な影響をもたらすことになる。