キャッシュレス決済の終焉か…ようやく見えた7pay騒動の「深層」

なぜバーコード決済は乱立したのか
星 暁雄 プロフィール

大混乱となっていた開発の現場

現段階でまず指摘するべき重要な問題は「システム開発、運用の体制に問題があり、その責任は経営陣にある」ことである。

記事執筆時点で公表されている範囲では不正利用の原因となった問題点がすべて解明されたとはいえない。それでも、本来あってはならない問題点(セキュリティ脆弱性)が複数見つかっている。「外部ID経由の不正侵入が可能」「パスワードリセットの悪用で乗っ取り可能」といった深刻な内容だ。どの問題が不正利用につながったかは記事執筆時点では不明で、未解明の問題が残されている可能性もある。こうした問題を生んだ背景には開発体制の問題がある。

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今年(2019年)に入って大きな仕様変更があった。現場は混乱してぎりぎりの仕事をしていると聞いている」。前出のモバイル決済ジャーナリストの鈴木淳也氏は、取材に基づき開発体制に問題があったと見る。

7payのサービスは、複数の会社のシステムを連携させる作りだ。バーコード決済サービス7payの開発と運営はセブン・ペイ、7payが連携する「セブン-イレブン公式アプリ」はセブン-イレブン・ジャパン、その背後にあるプラットフォーム「オムニ7」はセブン&アイHDが運営と、少なくとも3社にまたがるシステムとなった。

仕様変更の影響は大きく、各社が歩調を揃えないとシステムのテストも実施できない。「テスト実施時期も予定より1カ月以上遅れた」(鈴木氏)。しかも7月1日のサービス開始は動かせない目標だった考えられる。

大きな仕様変更、開発スケジュールの遅延、複数の会社にまたがる開発とテスト、動かせない締め切り、これらは単体でも十分にトラブル発生源となる。それが重なったのだ

複数の会社のシステムを連携させる形となった背景には、セブン&アイHDの戦略がある。同社は、ネットショッピング、店舗など複数の顧客接点(チャネル)を一元的に管理し販売促進に結びつける「オムニチャネル」のコンセプトに基づくプラットフォーム「オムニ7」を推進する。そこで同社は7payを新たな顧客接点と捉えていた。だが、それが裏目に出た。

 

7payが7月1日開始というスケジュールを動かせなかった大きな理由は、2019年10月から予定されている消費税増税とセットになった補助金のためだ。これは経済産業省の「キャッシュレス・消費者還元事業」(ポイント還元事業)に基づく。セブン-イレブンのようなフランチャイズ形態の場合、キャッシュレス決済で買い物をした消費者への2%のポイント還元に相当する補助金が出る。

ただし、このポイント還元事業は9ヵ月間の期間限定。7payとしては、補助金を受けられなければ他のキャッシュレス決済サービスに対して競争力で差を付けられてしまう。そこで、なんとしても間に合わせる必要があったわけだ。

このような事業者サイドの都合により、情報システム開発の現場に無理が出た。それが今回の不正利用の背景にはあったと考えられる。