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キャッシュレス決済の終焉か…ようやく見えた7pay騒動の「深層」

なぜバーコード決済は乱立したのか

キャッシュレス決済への信頼の墜落

「7pay」の不正利用事件の波紋が今もなお広がっている。「キャッシュレス決済への信頼性はほぼゼロになった」──ある被害者はそう語る。「日本のキャッシュレス決済の安全性に疑念を抱かせる初の大規模な不正利用の事例が出てしまった」と残念そうに話すのは、モバイル決済ジャーナリストの鈴木淳也氏だ。

あらためて今一度、一連の騒動について振り返ろう。

7payは、スマートフォンを使うバーコード決済サービスだ。2019年7月1日、全国で約2万1000のセブン-イレブン店舗で利用を開始した。その直後から不正利用の被害が相次いだ。不正利用の犯人グループは多数の利用者のアカウントを乗っ取り、クレジットカードによるチャージ(入金)を繰り返し、店舗で換金性が高い商品を購入した。

「7pay」の画面

7月2日から、不正利用に関する問い合わせが発生。7月3日にセブン&アイ・ホールディングス(セブン&アイHD)は不正アクセスを認め対外発表し、7月4日には記者会見を開いた。

被害の規模は2019年7月11日時点で1574人、3240万円にのぼった。これは同社がその時点で認定した数字だが、調査は続行中のため今後数字が増える可能性もある。スマートフォンを利用したバーコード決済サービスでこのような被害が明るみに出たのは初めてのことだ。

 

7月5日には経済産業省が7payを名指しして「不正利用防止のために業界団体が定めたガイドラインを遵守していなかった」と指摘。また、7月8日には金融庁が資金決済法に基づき報告徴求命令を出した。7payが短期間でサービスを再開する可能性は低くなった。経済産業省と金融庁の双方を納得させなければサービスを再開できないからだ。

今回の記事では事件そのものではなく、その背景にある問題を取り上げる。大きく2種類の問題を指摘したい。1番目はシステムの開発、運用の現場と経営陣との関係性の問題。2番目は社会インフラといえるキャッシュレス決済のグランドデザイン(全体構想)が見えない問題である。今回の記事は、7pay事件を取材中のモバイル決済ジャーナリストの鈴木淳也氏と筆者の星の間で行った議論を下敷きにしている。ただし文責は筆者一人にある。