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革命者か破壊者か…デジタル通貨「リブラ」を世界が恐れる本当の理由

次々に「待った」の声が…

「信用の乏しさ」が足を引っ張っている

アメリカのフェイスブック社がデジタル通貨「リブラ」の発行計画を6月18日に公表してから、1ヵ月――。リブラ誕生に待ったをかける世界的な包囲網が形成されつつある。

その極め付きが、パリ郊外のシャンティで開かれていたG7(主要7ヵ国)の財務大臣・中央銀行総裁会議だ。先週木曜日(7月18日)、2日間の日程を終えて閉幕するにあたって、議長国フランスのルメール財務相が議長総括演説を行い、G7諸国は「(リブラが)国家の通貨主権や、国際通貨システムの機能にも影響しうる」との懸念を共有しており、「最高水準の金融規制を満たす必要がある」と指摘、サービス開始前に厳しい網をかけると宣言したのである。

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一方、フェイスブック幹部は先週火曜日(7月16日)、米連邦議会上院の銀行委員会公聴会で、しおらしく「規制当局の適切な承認を得るまではデジタル通貨を提供しない」と述べ、来年前半に予定しているサービス開始を遅らせる用意があることを明らかにしたものの、議員たちは歯牙にもかけなかった。

アメリカ議会では、上院銀行委員会とは別に、下院司法委員会も先月、反トラスト法違反の疑いで、「GAFA」と呼ばれるグーグルやアップル、フェイスブック、アマゾンの米IT大手4社の調査を開始した。

こうした包囲網が築く規制のハードルは、予想を上回る高く厳しいものになる可能性がある。フェイスブックが野望を燃やすリブラにも、暗雲が漂っているのだ。

 

まず、リブラの概要を押さえておこう。リブラは、利用者数27億人を擁する世界最大の交流サイト運営会社フェイスブックが協力会社とともに、来年の発行を計画している独自のデジタル通貨である。計画では、電子メールのように、ネット上で簡単にリブラのやり取りできるのが特色で、公共料金の支払いなどに手軽に使えるようにするだけでなく、スマートフォンのアプリを使って国境を越える送金も簡単にできるようにする。

フェイスブックが強調しているリブラの長所は、一定程度、準備金としてUSドルのような法定通貨を積み立てるため、ビットコインのような従来型の暗号資産(仮想通貨)で起きがちだった価格の乱高下が抑えられるという点だ。つまり、投機的性格が強過ぎることが難点だった従来型暗号資産の欠点を予め改善するというのである。

しかし、フェイスブックがいくらリブラの安全性を強調しても、効果はなく、焼け石に水のようだ。リブラの足を引っ張っているのは、フェイスブックのレピュテーション(信用)の乏しさだ

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過去に、SNSを使って集めた大量の個人情報が外部に流出して不正利用されたり、フェイクニュースの氾濫を放置したりしてきた“前科”が災いしているのである。前述のアメリカ議会上院の銀行委員会公聴会では、ろくに同社の言い分を聞こうとせず、いきなり「フェイスブックは危険だ」とか「27億人のユーザーを守れるはずがない」と決め付ける議員の姿が目立った。

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