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京アニ放火事件、犯人の「病気」を強調する報道への大きな違和感

「戦後最悪の事件」を理解するためには

世界を震撼させた大惨事

京都アニメーションのスタジオ放火事件は、死者34名、重軽傷者36名という大惨事となった。戦後最悪の事件と言っても過言ではない。

建物の構造も影響したようだが、ガソリンを撒いて放火をすると、一瞬のうちにこれだけの死者が出るということに、とてつもない恐怖を覚える。

また、この事件は日本だけでなく、アニメや日本文化を愛する世界中の人々に大きな衝撃を与えている。

私も、7月20日にニューヨーク・タイムズから事件について取材を受けた。同紙から日本の事件で取材を受けるのは、大相撲の暴力スキャンダルを解説して以来のことだ。

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日常のなかの惨劇

何よりも恐ろしいのは、日常的に仕事をしていた人々が、その日常の景色のなかで、理不尽な暴力によって無残に命を奪われていったということだ。

被害者の多くは、一酸化炭素中毒による死亡だと考えられており、逃げ惑うなかで、行き場を失って死亡したと見られている。そして、その後は誰が誰だかもわからないほどに、火災によって激しい損傷を受けたのだという。

政治的な背景はおそらくないであろうが、これはあたかも平凡な日常を破壊するテロのようなものだ。

 

先日の川崎の小学生無差別殺傷事件といい、今回の放火事件とい、日常生活のなかに突如侵入した防ぎようのない破壊的な暴力を目の当たりにして、われわれはこの社会の無防備さと無力さに戦慄するしかない。

京都アニメーションは、有名な会社だとは言っても、家内工業的な職人技に支えられた中小企業であり、その社屋を見ても決して万全の警備やセキュリティを誇っていたとは見られない。

わが国では、圧倒的に多くの人々が、中小企業で働いていることを考えると、この事件は誰にとっても他人事ではないだろう。