「サステナブル・ブランド国際会議2019東京」が、2019年3月6日、7日にヒルトン東京お台場にて開催されました。気候変動や食品ロス、貧困など日本が抱える社会問題が深刻化する一方、2030年に向けて、サステナブル(持続可能)な社会への関心も広がりを見せています。

企業や組織だけでなく、生活者一人ひとりが取り入れることのできる、サステナビリティのヒントであふれた二日間。今回は、抽選で選ばれたFRaU×SDGsプロジェクト読者パートナー2名と共に参加したセッションの様子をお届けします。
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『有言実行』を合言葉に、
企業の姿勢伝える

左から電通の木下舞耶さん、凸版印刷の亀井光則さん、ポーラの望月亮さん。

ブレイクアウト・セッション「姿勢が伝わるコミュニケーション」では、凸版印刷 トッパンアイデアセンタークリエイティブ本部エキスパートクリエイターの亀井光則さん、ポーラ 市場接点開発部長の望月亮さん、電通 PRソリューション局クリエイティブ・プランナーの木下舞耶さんが、企業のSDGsへの取り組みが伝わる情報発信のあり方を国内外の事例をもとに紹介しました。

ファシリテーターを務めたSB TOKYO サステナビリティ・プロデューサーの足立直樹さんは、「日本企業はサステナブルなコンテンツを伝えることが苦手。せっかく活動をしているのだから情報発信していくべきです」と言います。サステナブル・ブランド ジャパンのウェブサイトにて、企業の取り組みを紹介する連載でも海外の事例が多いそう。そんな中、国内の事例として、ポーラが2016年に展開したビューティディレクターを募集するCMを紹介。

「“自分らしく生きる人たちを応援したい”という企業姿勢のもと、ポーラは女性たちの勇気ある一歩で大きくなりました。しかし、社外に目を向けたとき、日本は女性がまだまだ一歩を踏み出せないのが実情だと気付きました。女性は誰しもが可能性を秘めているという思いから、こういう生き方はどうですか、という問いを発信しました」(望月さん)

『この国は、女性にとって発展途上国だ』という言葉を起用したCMは、社内でも議論されたが、求人の応募人数だけでなく、商品の売り上げにも反響があったとのこと。

コミュニケーションを提供する側である亀井さんは、「複雑で難しい情報を簡単でわかりやすく、さらに印象的でおもしろくする『情報伝達の最適解』が、情報が増えてきている現代では非常に大事」とコメント。

水を使用しない染色技術「超臨界流体染色」を、無水染色したファスナーを水のない鉢に咲いているバラに見立ててわかりやすく伝えた事例と、偏見を持たれてしまう精神疾患を「脳神経の不調」と言い換えて、脳神経を電気回路に例えたノートと導電性のあるインクを充填したペンを使って、ノートの回路を完成させる体験により印象に残りやすくした事例を紹介しました。

世界最大規模の広告賞であるカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルに参加した木下さんは、受賞例から学んだクリエイティブテクニックを紹介しました。

「ブランドの社会問題に対する姿勢が60%もの消費者の購買行動に影響するという調査結果があります。この消費者の変化に伴って、広告コミュニケーションの表現も進化しています。2018年には国連とのパートナーシップによって、グローバル・ゴールズに基づいたテーマのクリエイティブを評価するSDGs部門が新設されました」(木下さん)

観光客による自然破壊が問題になっているパラオで実施された、パスポートの入国スタンプを環境保護誓約文に変えて署名ができる『機能を発明』したパラオ・プレッジ、ラコステが動物保護団体とパートナーシップを組み、ポロシャツのロゴのワニを絶滅危惧種動物、生産枚数を頭数に『置き換え』て販売した事例などを挙げました。

FRaU×SDGsプロジェクト読者パートナーの山口さんも「亀井さんの情報伝達の最適解のお話では、簡単・わかりやすいよりも進んで、『印象的に・おもしろく』加工するという、新たな視点を得ることができました」とコメント。

ブランド戦略のキーワードは、
『女性』『ミレニアル世代』

左からファシリテーターの江戸克栄さん、ハーチの加藤佑さん、インテージの三浦ふみさん、FRaUの関龍彦。

ハーチ代表取締役の加藤佑さん、インテージ マーケティング部長の三浦ふみさん、そして、FRaUプロデューサーの関龍彦も登壇したブレイクアウト・セッション「消費者調査からみる日本におけるグッドライフ戦略のリ・デザイン」。消費者調査や読者調査をもとに、若い世代で浸透しつつあるサステナブルな発想を、どのようにブランド戦略につなげていくか議論されました。

世界のソーシャルグッドなアイデアを取り上げるウェブメディア「IDEAS FOR GOOD」の読者層は、10~30代のミレニアル・Z世代が多くを占めているそう。アンケート調査では、7割が社会課題に関心があると回答。また、15項目設けた企業サイトやオウンドメディアを見る際に重要視するポイントでは、「企業などの価値観が落とし込まれている」、「社会課題解決につながる企業の取り組みが掲載されているか」、「事業やサービスとSDGsとの関わりが明記されている」、「デザイン性を大事にするか」、「背伸びをしていない」に特徴があったと紹介されました。

「ミレニアル・Z世代の消費者に愛されるブランドコミュニケーションでは、どういう目的を持っているかという『パーパス』、それをかっこよく伝えていく『デザイン』。そして、実際に何を伝えていくかというと『オーセンティシティ』、ありのままを見せていくことが重要だと思います」(加藤さん)

マーケティングリサーチを行うインテージの三浦さんは、日本、アメリカ、タイでグッドライフを送っているかという自己評価をしてもらったときに、日本は「グッドライフを送っている」割合が3カ国でもっとも低く、「送っていない」という回答が15%にもなったと指摘。また、20~30代の働く女性を対象に行った、5年後どういう自分でありたいかという質問への回答では、「心に余裕を持つ」「ゆったり」「楽しみながら」「自分らしく」「無理はしない」といった価値観が多く出てきたと紹介しました。

「ブランド・エクイティ・ピラミッドの上位が、イメージからリレーションシップに変わってきています。商品の提供価値として、機能だけでなくサービスが重視されるようになり、現在は体験が消費を促しています。次に来ると言われているのが革新。ブランドとの出会いによって自分の生活にポジティブな変革が起こることが重視され、『顧客経験の理解』が最優先課題です。現在は情報が循環しているので、話題に乗って消費の経験がシェアされることで次の消費が生まれ、リピートしてもらうには消費者の何らかのストーリーと共感させることで絆層が増えていきます」(三浦さん)

「FRaU」は、SDGs認知率が14.8%しかなく、特に30代~40代の認知率の低さを問題視し、昨年12月に1冊丸ごとSDGs特集号を発行。サステナブルな社会の実現のために女性がソーシャルインパクトを創出する機会を提供し続けるというパーパスのもと、「メディアを活用した認知・関心を広める活動」、「アクティビティーを活用した体験の提供」、「マーケットプレース・アプリを活用した社会貢献・経済活動の可視化」をアクションプランに考えています。

SDGsを「地球からのポジティブな宿題」と定義したという関は、「宿題というからには気持ちのいいテキストや取っ掛かりが必要だと考えました。また、本を出して終わりではなく、趣旨に賛同頂いた企業や自治体とともにサステナブルなライフスタイルをかたちにするための情報発信、交流の場づくりをしていきます」とコメント。

また、SDGs特集号の発行と同時に募ったFRaU×SDGsプロジェクトの会員は、30~40代が72.2%、居住地域は東京・首都圏が66%、就労者が73%で、グローバル・ゴールズの関心度については、「12.つくる責任・つかう責任」、「4.質の高い教育をみんなに」が高いという結果を紹介しました。

「読者からはこれまでにない大きな反響がありました。SDGs先進国であるスウェーデンの情報から始まり、世界中の取り組み、日本でも始まっている取り組み、企業での取り組みを紹介し、買うものから世界を変えようということで商品紹介があり、最後に「今日からできる、100のこと。」と構成しました。つまり遠いところから、だんだんと自分の身近なところに結び付けていくようになっています。自分ごと化できることも重要です」(関)

FRaU×SDGsプロジェクト読者パートナーの藤田さんからの『この先にある世界がいい世界だということを見せていくためには?』という質問には、「国も脱プラスチックなどを進めているわけではないし、生活者の意識もまだ低い。企業や自治体はその中間にいるのだから、どちらにも働きかけていくべきと考えています」と回答。

ファシリテーターを務めた江戸さんは、「実は30~40代やミレニアル世代は大きなポテンシャルを持っていて、グッドライフ戦略をリ・デザインしていくうえで重要な世代です。『女性』『ミレニアル世代』に焦点を当てていきたい」と締めました。

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サステナブル・ブランド ジャパン
http://www.sustainablebrands.jp/

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Photo:Takaaki Inoue